2017-10-10

お酒の好みの伝え方

辛口信仰をやめましょうだなんて記事が上がっていたので、飲食店経営してきた中でお客様の好みを聞き出すのにどんな言葉を使ってきたかを教える。

まり、それに習って好みを言えば目当てのお酒出会いやすいということ。

香りと味を分けて考える

味覚というもの曖昧もので、嗅覚との境界がとてもいい加減です。

例えば甘口が好きだと伝えたいとき香りが甘いのか味が甘いのかは別です。

花のような香り、樽の香り、スモーキー香りベリー香りなど、香りの好みや強弱をしっかりと伝えましょう。

味の対比を考える

味覚を簡単に並べると、甘味塩味、酸味、苦味、辛味などがあります

そして、世の中で高く評価されているお酒は、例外なくこれらどれかだけが強いのではなく、それぞれのバランスが優れているお酒です。

例えば辛口に話を戻すと、南国カレーのように甘いのに辛いは両立しえるので、ただ辛口とだけ言われるとバランスの優れたお酒はまず除外されてしまます

もちろんそれは人の好みですので、優れたお酒=誰もが好きなお酒とは限りません。

ただ、料理店側から見ると、この人はこだわりは強いけどお酒のことをあまりよく知らない人だなと思われてしまうかもしれません。

お酒の味を表現する便利な言葉

そうは言っても、食事理科実験ではなく気軽に楽しむものです。

から、あまり味そのものを難しく考えてしまうとつまらなくなってしまます

そんな時、こんな言葉を知っていると比較的うまく伝えられますよという言葉を並べておきます

  • 旨味・コク

まさにこの旨味やコクと言う言葉こそが、それぞれの味覚がもつバランス意味しています

甘いだけのお酒、苦いだけのお酒、辛いだけのお酒、酸っぱいだけのお酒には、絶対にこの旨味やコクを表現することはできません。

しかし、すっきりとしたお酒を飲みたい人ももちろんいます

から、これだって好みの一つでしかないし、料理との組み合わせを考える上で積極的選択すべき要素なのです。

そしてこれらの要素の大半は、甘味塩味・苦味のバランスで作られています

自分の好みのお酒はこれらがどんなバランスで作られているのかを考えるといつもとは違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

また、アルコールの強さも旨味には大きく影響してくるので注意が必要です。

いわゆる辛口を好まれる方は、この辺りの言葉を伝えると良いのではないでしょうか。

これらは飲み終えたあとの口に残る味の余韻に関係してきます

基本的に苦味、酸味、辛味が強く、そして甘味の少ないお酒です。

しかし、甘味とキレ・ドライさが共存できないわけではありません。

香辛料のような辛さを強くすれば甘味は舌から揮発するように消えていくし、実際に糖が少なくても強い香り甘味を感じさせてくれるお酒もあります

まり、甘口なのにキレのよいお酒存在しうるわけです。

それこそが、辛口一言では絶対表現できない味といえます

甘みやコクとにているかもしれませんが、主に味や香りの複雑さに関係してくる要素です。

お酒熟成するほどに美味しくなると言われています

主に、甘味が強くなり酸味が取れ、香りが深くなります

樽や檜の香り好きな人は、この言葉を選んでみると良いかもしれません。

ただし、基本的醸造に年月をかけているということはそれだけ手間とコストがかかっているということですから、値段とよく相談して選ぶようにしましょう。

  • 華やかさ

香りや色に強く影響される要素です。

また、比較的「飲みやすい」という言葉を選ぶ方にお出しすると喜ばれるお酒です。

甘味と酸味のバランスがよくスッキリ飲めたり、口の中いっぱいに香りが広がるようなお酒を好まれる方におすすめ言葉です。

ある意味では熟成と対になる、若々しさの溢れる要素でもあります

男性でも比較的使いやす言葉なのもポイントです。

  • やさしい味

お酒があまり得意ではない方におすすめ言葉です。

この言葉を使えば、アルコールの強いお酒が選ばれることはまずありません。

それぞれのバランスが小さくまとまっていて、きれいな味を楽しむことができるはずです。

日本人を苦しめる辛口呪い

さて、呪いというには大げさかもしれませんが、どうしてこれほどまでに辛口と言う言葉が便利に使われるようになってしまったのでしょうか。

その大きな要因の一つは、アサヒビールが一大セールス確立したビールスーパードライにあると言ってもいいでしょう。

ビール国民晩酌に快進撃を進めはじめた当時、そのシェアを独占してやろうと各社があの手この手でしのぎを削っていました。

ユーザービール=苦いものだと認識していたので、メーカーは本場の味に近づけようと苦さをアピールする戦略を選んでいました。

しかし、そんな中で唯一異なる戦略で一気にシェアを奪い去ったのがアサヒビールスーパードライでした。

そしてその戦略こそが、辛口戦略だったのです。

大人たちはビール=苦いものだと思っていたので、苦いビールを無理してのんでは本当は大して美味しくもないのにそれが格好がいいと信じていました。

そんな状況をいち早く察知したアサヒは、他のメーカーとは反対に敢えて苦味を減らし、キレよくゴクゴクと飲めるビールを作ってそれを辛口表現しました。

苦い=格好がいいと背伸びしていた大人たちは、まんまとこの辛口という言葉にひょいひょい乗り換えていったのです。

これによって、日本人にとって辛口という言葉は、その言葉自体にそれほど意味がなくても、なんとなく大人な格好がいい雰囲気を醸し出してくれる便利な言葉になってしまいました。

そうして、日本酒にとっても辛口とはつまり、米の甘い部分だけを贅沢に使う大吟醸否定する言葉でありながら、安酒を格好良く飲ませるのにもってこいの言葉になってしまったのです。

辛口という言葉全てを否定するつもりはありませんが、ただその言葉だけを出してそれがこだわりだ。という顔をされてしまうと、あぁ、メーカーに踊らされているかわいそうな消費者だな、としか見えないわけですね。

だって、本当に辛口が好きならスピリッツとかストレートで飲めばいいじゃないですか。

「飲みやすい」、「辛口」という評価はもう卒業

少なくとも上から2つの要素を提案すると、きっと自分好みのお酒出会ますよ!

ただし、要素が重なれば重なるほどそのお酒の値段が上がっていくことに注意。

良いお酒とは、つまりそういうお酒であり、良いお酒を飲むことよりも、好みのお酒出会えることのほうが人は幸せになれるはずです。

  • あーうぜー

  • どうでもいいけど、お酒の提供温度でも、印象が大きく変わるから、その辺も教えて欲しい。

    • 実はそれは結構簡単。 温度を高くすると甘味と香りが強くなる。逆に温度を低くすると味がスッキリと切れが良くなる。 眠い味のときは温度を下げると良いし、甘味と香りが物足りない...

      • ありがとう。 でも、お店で、サーブされると、残念なサーブ温度のことが多い気がして残念なんだよな。 例外は日本酒と、ワインに有る程度専門性がある店。 日本酒は、おおまかな温...

  • 気持ちは分かるけど最後の段落書いたせいで台無しかなあ。 人に自分の意見を伝えるときに他の物をdisらないって基本中の基本だと思う。

  • 辛口にこだわるのはメーカーに踊らされているだけ←わかる かわいそうな消費者だなという気持ちになる←まあわかる だって辛口が好きならスピリタスやストレートで飲めばいいじゃん...

  • ビールもワインも日本酒も焼酎も苦手、苦いのがダメっていうと、だいたい甘いのをオススメされて、それはだいたいおいしい。 イタリアンレストランではベルビュークリークをおすす...

  • 札幌の酒屋にいたアメリカ人店員さんの勧めてくれた酒は全部うまかった。また行きたい。

  • 日本人のワインのフルボディ信仰みたいなのもあるような気がする なんでもおいしい思うワイン飲んだらええねん

  • 元増田は辛口志向=スーパードライ以降と言っている? 「そうして、日本酒にとって"も"辛口とはつまり」という一節からそのように思えてしまう。 スーパードライ登場以前を知って...

  • 日本酒は大体甘い。米から作られてるんだからと言われればそれまでだが。 しかし以前、辛いと感じた日本酒が有る。 灘の 黒松剣菱 という酒だった。上手く表現できないが、辛い大...

    • 口に合わない日本酒は吐きそうになるレベルで不味いから外れが洒落にならんのだよ 蒸留酒はそんなことがない

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