はてなキーワード: SC-88とは
YOASOBIしらんのでYoutubeで一曲MVを聴いてみたけど、なんとなく言ってる意味わかった
ギターやピアノのような生楽器の音について話している場合と、シンセの音を想定している場合とで説明が違ってくるが、たまたま今聴いた曲のイントロがピアノだったのでここではピアノを例に挙げる
とりあえずショボいピアノ音源の代表として、RolandのSound Canvasのデモを聴いてもらいたい(0:50~ぐらいから聴くとわかりやすい)
https://www.youtube.com/watch?v=uPQa7trDFpA
いかにも機械的な音色(ちなみにシンセの文脈ではおんしょくと読む)だと感じないだろうか?
理由は明白で、これは非常に古い時代の音源なので、データサイズが非常にちっちゃい
どれくらい小さいかというと、Roland SC-88の場合はピアノ以外にも数百種類もの音が収録されてるのに、全部あわせて8MBのROMに納めているらしい。てことはピアノ一個のデータは100KBくらいしかないんじゃなかろうか
みたいな涙ぐましい工夫をしなきゃいけない
当然この場合「鍵盤の同じキーを10回叩けば10回とも完全に同じ音が出る」「鍵盤を強く叩こうが弱く叩こうが常に同じ音が出る(さすがに音量だけは変わる)」といったいかにも不自然な特徴を持つ「ショボい音色」になる
(注:この時代のピアノ音源は録音ではなく合成波形で表現している可能性の方が高いかもしれないが、後段のしくみは一緒だろうし今は細かいことは置いておく)
ところで現代の音楽製作ではHDDもメモリも潤沢に使うことができるので、一台のピアノを表現するために平気でファイルサイズ6GBくらい使う
以下は\13400で買える音楽製作用ピアノ音源のデモである。録音データのサイズは圧縮前で13.7GBあるそうだ
https://www.youtube.com/watch?v=7YBwoHEI-fA
人間が弾いてるデモじゃねーか!とつっこんではいけない。先程のSound Canvasのような古い音源だったら、たとえ人間が生で弾こうが機械的な音しか出ないのだ
一方現代のサンプリング音源は「弱い音」「少し強い音」「すごく強い音」をちゃんと別録りしているし、さらに同じ高さ・同じ強さの音でも複数収録してランダム性を持たせることで機械感を回避したりしている
それだけのデータ量とPCパワーを費やしているからこそ、人間が生で弾いた時にちゃんと生っぽい演奏音を出してくれるのである
(なお現代のリッチな音源といえども、手抜きして「全部の音符を一定の長さにする」「常に一定の強さで弾く」といった機械的な打ち込みをされると不自然さを隠しきれなくなり、ショボ音源に近く聴こえる)
じゃあ前者のような「ショボい音色しか出せないピアノ音源」に存在価値あるの?という話だが、前者の製品は'90年代に発売されたショボい機器の音をわざわざ現代でも使えるようにソフトで復刻したもの
つまり「30年前のあのショボい音色が持つ独特の懐かしさ」が好きな人がいるからこそ復刻しているわけで、存在価値はあるのである
あとメモリ消費量が少なくて済むし、メーカーとしても収録にさほど手間をかけずに作れるので、安価な製作環境に同梱されているオマケのような音源は(さすがに30年前レベルではないにしても)これに似たショボい音であることが多い
YOASOBIが意図して使ったのかどうかはわからんけど、YOASOBIが好きと言っている人はこういうショボい音色が持つレトロ感が刺さったんじゃね?