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先月のシルバーウィークに有給含めて1週間のデジタル断ち旅行をしてみた。
旅行といっても、とある僻地にあるグランピング施設に泊まるってだけなんだが、
とにかくスマホとPCなど一切のデジタルガジェットに触れない、という企画旅行だった。
ちょっとググれば出てくるので、ステマと思われるのはイヤなので具体名は明かさないでおく。
そこは当然ながらWifiも飛んでいないし、スマホの電波すら怪しいレベル。
スマホとPCは受付で預けていて、どうしても連絡する必要があるときは受付にある電話かPCを借りるしかない。
(ちなみに、外部からも受付に電話をかけることが出来、その電話番号は告知されているので、緊急連絡は可能)
最初の1日目は地獄だった。具体的に言うと、退屈地獄だった。何をしたらいいかわからない。
普段いかにスマホに依存しているかよく分かる。ヒマになるとすぐにスマホを覗いていたわけだ。
ただ、ヒマになると面白いもので、周囲の色々なものに関心が出てくる。普段なら興味も持たないことだ。
例えば、周囲の自然や空の青さ、風の匂い、鳥の鳴き声、夕焼けの切なさ、月の明るさ、夜の静寂。
自分を取り囲むすべてのものがとてつもなく魅力的に感じられる。
古代の人たちが自然を歌に詠んだのは、こういう感性があってのことなんだな、と気付けた。
ただ、それらの写真を撮りたい衝動に何度も襲われたのには苦笑させられた。
2日目になると早くもスマホへの依存は薄まり、朝はしばらくぶりに快適な目覚めだった。
その日は雨だったが、雨音は読書中のBGMとしては申し分なく、ハードカバーの小説を一気読みしてしまった。
3日目以降になると、もはや驚異の体験。思考が驚くほどクリアなのだ!
次々と新しいアイデアが湧いてくる。仕事のことはもちろん、これからの人生の進路についても色々と有意義な思索を巡らせた。
今まで答えが出てこなかったものにも、「これだ!」と言える答えが次々と湧いてきて、知能指数が上がったような錯覚すら覚えた。
一日のうち、午前中は外でアウトドア活動を満喫し、昼下がりから思索をノートに書き連ねる日々を過ごした。
いつも寝る直前には適度に疲れを覚え、ベッドの中で無駄な考えをすることもなく、スッと寝入ることができた。
普段は睡眠薬に頼り切りだったので、これは驚くべき効果だった。
最終日、自分はもはやスマホの存在を半分忘れていた。そういえばそんなものもあったな、という気分。
受付で手続きを済まし、預けていたスマホとPCを受け取るが、電源を入れてみる気も起きず、そのまま帰途についた。
自宅に戻ると一気に現実感に引き戻されるような気がした。
スマホに電源を入れると、LINEとメールに大量の着信があり、それを見て思わず苦笑した。
ああ、またリアルに戻ってきたな、という実感。もはやネットもリアルの一部なんだな。
旅行から1週間くらいは普段よりも身体も思考も快調な状態が続いたけど、やはりしばらくすると元の状態に戻ってしまった。
でも、デジタル断ちすることにより、いかに人間が本来の能力を回復できるのか知っただけでも収穫があったと思う。