2024-08-09

OMORIに心を壊された

OMORIというゲームがある

ゲーマーの間では発売当初から大変話題となり、増田もその頃から気にはなっていたものの手付かずで、今年のサマーセールでちょうど安くなっていたから買ったんだ。

それで最後まで何とかプレイしたんだけど、ゲームとしては最高に面白かったし、このゲームをやらずしてゲーマーとは言えないんじゃないか?と思えるほどには稀に見る傑作だった。

ただ個人的には非常に苦しいところがあり、少しネタバレにもなるので、この先は未プレイ増田は決して読まないでほしい。


このゲームには"オーブリー"というヒロイン女の子がいる。非常に可愛らしい子で、まさに天使みたいな子なんだけど、その子は後年グレて出てくる。

素直で純朴だった少女のはずなのに。

ここから増田自分語りになる。増田は幼少期、祖父母の家に預けられていたんだ。家庭に大きな問題があったとかじゃなくて、単に両親が共働きかつ転勤の多い仕事をしていたからなんだ。

それに祖父母は優しかったし、別段不便に感じるようなこともなかった。俺はその田舎に中1まで居た。そして、幼馴染みがいた。

彼女はいつも素直で、笑顔が最高に可愛い子だった。俺たちは二人で本当によく遊んだし、いろんな所に二人で出掛けたりもした。まるで彼女と一緒にいるのが普通で、当たり前みたいに。

から両親の仕事が安定して、それで一緒に暮らすことになって引っ越すことが決まったんだと訳を話しても彼女は大泣きして、すがり付くようにわんわん泣いてて次第に俺も泣いてしまった。

大人になったら戻ってくるから、とそう約束して、引っ越しの当日までまるで引っ越しの話がなかったかのように、いつもみたいにずっと一緒にいて、一緒に遊んだ。だから当日も「さようなら」は言わなかった。「またね」と言って、笑顔で別れることができた。一時のことだから。それがお互いに分かっていたから。

引っ越し後、俺はすぐにでも会いに行きたかった。けど、転校のことでバタバタしていたし、勉強をより頑張らないと志望の高校に行けなかったこともあって、とにかくやることが山ほどあったんだ。

都会の時間は、田舎時間とは違う。

そんなことを後になって思うようになって、気づけば大学生になっていた。

大学一年夏休み。俺は祖父母の元へ行った。

目的はもちろん幼馴染みの彼女に会うためだった。

連絡はしていなかったし、当時はまだ携帯時代で、中1では持たせてもらえなかったんだ。

でも彼女の家は近所だし、行けば会えるだろう。なんて呑気に考えていて、実際会えた。

忘れもしない。祖父母の家に帰った次の日、朝から暑くて、アイスでも買いに行こうと家を出た。昼前のことだ。家を出たところでばったり出くわした。彼女自転車を手で引いていた。

俺は動揺した。別人であってほしいと思いながらも面影が濃すぎた。

幼馴染みは髪を茶髪に染め、ピアスをつけ、目付きは鋭く、化粧をしているように見えた。

彼女は俺を見ると動きを止めた。そして俺の全身を見て、「増田じゃん」と言った。口調もちがう。そのとき俺は咄嗟にそう思った。

「久しぶり。帰ってたんだ」と彼女はそんな感じのことを言ったと思う。この辺りは曖昧だ。そして次の言葉は鮮明に覚えている。彼女は俺が無言でいることに気づいて鼻で笑い、「変わったって、思ってるでしょ?」と言った。

俺はなにも言えなかった。まだ動揺が続いていたからだ。彼女はそのあと何か俺を馬鹿にするようなことを言って笑った。なんと言われたかよく覚えてない。彼女それからも何か言ったけど、何を言われたかはっきりとは覚えていない。

ただ少しずつ嘲笑するように笑っていた顔が真顔に戻っていったのだけは覚えている。

彼女は手を離すと自転車は倒れ、構うことなく俺の目の前に来ると俺のことをビンタした。

「なんで…なんで、もっと早く来てくれなかったの?」

こう言われた。涙声で声は震えていた。泣いていたのかもしれない。はっきりとは覚えていない。はっきり覚えているのは震えた声で「なんで…なんで、もっと早く来てくれなかったの?」という声で、彼女は翻すと自転車を拾ってすぐ何処かへ行ってしまった。

それが、あのときの幼馴染みの言葉が、すべての答えだったんだと思う。

俺はそれから二日引きこもり、三日目に帰った。

あれ以来、幼馴染みには会っていない。

OMORIをプレイして、変わってしまったオーブリーちゃんを見たとき、この記憶が鮮明に甦り、俺は唖然とした。

思い出したからといって、今更何かが変わるわけでもない。

サニーとケルとヒロと仲直りができたオーブリーちゃんの姿を見る度、本当に辛かった。このゲームをやらなければ良かった、と本気で思ったほどだった。

照れながらも和解の合図に皆とバグするオーブリーちゃんの姿を見て、泣きそうになった。俺の心が今になって、壊れたような気がした

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