2023-07-22

誕生日の話

僕が大学4年生のとき、2歳年下の彼女ができた。もう5、6年くらい経つの記憶が定かではないが、大学生を卒業する5ヶ月くらい前から付き合ったと思う。

彼女とは同じサークル所属しており、日常的にもよく話をする仲だった。とてもいい子で悪い意味は全くない、本当に素直でまっすぐな子だった。旅行で色々なところに一緒にいった。富山大分岩手特にしかった。

彼女地元は県外であり、大学進級に合わせて近県である僕の地元の県へ引っ越してきていた。

僕は地元大学卒業して、地元就職したので彼女大学卒業するまで週末はよく会っていた。僕は実家暮らしで、一人暮らし彼女アパート金曜日夜行って日曜日夕方帰る、そんな生活を2年ほどしていた。

僕たちの環境が大きく変わったのは彼女大学卒業してからのことだ。

彼女大学卒業後、東京就職した。

付き合っている間、彼女の進路について別にケンカとかはしなかった。彼女がやりたいことをするには、僕の地元から離れるしかなかったし、彼女を僕の地元に引き留める理由を当時の僕は持ち合わせていなかった。

いや、本当は持ち合わせていたのかもしれない。ふたりの将来(結婚とか)を考えれば彼女が僕の地元就職するか、僕が一緒に東京に行くしかなかった。もしくは、彼女東京就職して何年か経ったら僕の地元に帰ってきて結婚するとか、逆に僕が数年したら地元から離れて東京結婚するとか。

でもそんな将来のことを僕は考えていなかった。

というか目を背けていた。 

今は置いといて追々考えよう〜〜〜

そんな気持ちでいたのだと思う。

そしてそんな自分気持ち彼女と共有したりもしなかった。彼女はどんな思いでいたのだろうか。

彼女東京就職してからは会う機会がグッと減った。

僕の地元から東京までは車で片道2時間くらいの距離なので、決して会えない距離ではなかった。しかし、コロナの影響やお互いの多忙もあり、ほとんど会えなかった。LINEでやり取りはしていたが、『おはよう』と『おやすみ』くらい、たまに『今日〇〇した』くらいの1日に10件にも満たないやり取り。

そして付き合って3年目。その日、僕は東京彼女と会っていた。地元から高速バスを使って東京に行った。

日中彼女の部屋でごろごろし、夜は彼女が予約してくれたお店でご飯を食べた。予定ではそのまま彼女の家で一泊して、次の日に帰る予定だった。

ご飯を食べ終わった帰り、最寄り駅から彼女アパートへ向かって歩いていると別れ話になった。

その日は一日中彼女の様子がおかしかった。会話をしても続かない、よそよそしい態度、彼女の中では僕は彼氏ではなくなったのだろう。

どんな言葉でフラれたのかは覚えていないが、『少し距離をとりたい』的なことを言われた気がする。

僕は内心、『そうだよな』と思った。将来のことの相談もしない、会えない上にLINEも続かない、そりゃ早めに別れて自分人生のために次の人を探すよな、そう思った。

彼女の部屋に着いた時には、もう彼氏彼女ではなくなっていた。僕は元彼女の部屋にいくつか荷物(服とか)を置いていたので、近々車でとりにくる、と話をまとめ部屋を後にした。

元彼女は『今日は泊まっていいよ』と言ってくれたが、『こういうのはキッパリとしないと』とか何とか訳の分からない言い訳を並べて僕は駅に向かった。少しでも虚勢を張りたかった。

駅で新宿行きの電車を待っていた。時間は22時過ぎだったと思う。

僕は決心した。

その後、電車に乗り新宿の3つくらい手前の駅で降りた。駅のすぐ近くにビジネスホテルがあったのでそこに泊まることにした。

そして、人生初の風俗を利用した。

デリヘルだった。

デリヘルってこんな時間までやってるんだ、と思った。日付の変わる30分くらい前だった。

受付のお兄さんに、自分風俗が初めてなので、リードしてくれる子でお願いしますと電話で伝えた。

部屋に相手の子が来てくれたとき、『若いね〜何歳?』と聞かれた。

僕は時計を見て『ちょうど今、25歳になりました』と答えた。

彼女と一緒に僕の誕生日を祝う予定だったのに、気がついたら東京の知らないビジネスホテルデリヘルを呼んでいた。そのデリヘルの子も25歳だと言った。本当かどうかは知らない。

次の日、来た時と同様に高速バス地元に帰った。バスタ新宿で待っている時、竹内結子自殺したニュースが流れた。僕は芸能人で一番好きだった人が亡くなったことを知った。

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