『日々、君』の小池定路先生はエロゲ職人だと知る。なんとなく、BL業界外から来た人という印象のある漫画だなと思ったけど、予想外の本職。なんかすごい。なんとなく他の業界から来た人という印象の作家さんは他にも多くいると思う。作風に独特な雰囲気があっていい。
けれども、少女漫画家だったけど売れなかったからBLに転向しましたみたいな感じの作家の漫画ってあまり面白くない気が。とはいえ、そのようにざっくり括れるほど沢山のBL漫画を読んで来たわけではないから、ただ単に偶々面白くないなと思った作家さんが元少女漫画家なだけかもしれない。
絵の上手い人の作る物語は面白いの法則、というのが私の中にはある。これは商業BL漫画限定。少年漫画だと絵は上手いとはいえないがストーリーはすごく面白いという作品はざらにあると思う。
商業BL漫画に限っては、絵が上手い人の作る物語は面白い(気がする)のか。思うに、絵が上手い人しかストーリーを描かせて貰えないのだと思う。商業BLのストーリーは、セックスをする口実のようなところがある。セックスのシーンですごい絵を描ける作家さんは話の途中で一、二回しかセックスを描かなくてもいいが、下手な作家さんは1話1エロを描いて無理矢理にでも読者の気を引けということなのかもしれない。
だとしたら、BL読者ってそうとうナメられているよなぁー、と思うのだが、ネットで商業BLの感想を検索などすると、エロがない作品はBLにあらず! という過激派から、エロは必須とまでは思わないがエロはあったらうれしいというぬるい層まで、多くのBL読みはエロを欲しているので、商業BLは基本的にポルノであると言わざるを得ない。
BLを読む時は、面白ければエロとかどうでもいいというスタンスなのだけれど、いざ自分でBL小説を書く時は、エロの部分はかなりノリノリで書く。けれども、ストーリーを考え出すとエロを書くタイミングを逸してしまい……それどころか、攻めと受けがキャッキャしてる所すら書いてないじゃないか! となりがち。いつも配分に悩む上、悩んだ甲斐のない作品を書き上げがち。
二次創作をやってた時代はある意味よかった……頭をパァにして最初から最後までセックス、みたいな短編とか書いて……。その代わり、ストーリーをちゃんと書けないのが、歯がゆかったけど。二次創作でストーリーを転がすと、必ず解釈違いとか原作私物化とか高尚様呼ばわりとかで他人と揉めるので。
セックスシーンを書くこと自体は好き。だが、好きなあまりについ最近まで気付かなかったのだが、セックスシーンを書くにあたっては読者の想像力のレベルに合わせることが必要だというか……あまり自分の筆のペースで飛ばすと読者の頭の中で、攻めと受けが複雑骨折するようなことになるので、控えるべきだ……ということ。文章は、絵みたいに状況がパッと見でわかるわけじゃないから……。
エロを書いて思うのは、気持ち良さそうなエロを文章で書くのは難しく、また書けたところで解ってもらうのも難しいということ。セックスの表現には暴力的なものも多いけれども、なんでそんなもんがウケるのか? といえば分かりやすいからなんじゃないかと思う。快感よりも痛みに対するリアクションの方が普通は大きいからだ。分かりやすいエロを書こうとするとどうしても暴力的になるのかもしれない。そんなの私は嫌だけど。