昨日の乗った電車の状況は久々に酷かった。
ただ、乗車当初の混雑も駅がオフィス街を経由するにつれ和らいていく。
ちょうど大規模ターミナル駅を過ぎ、車内にようやく人間らしい雰囲気がが戻ってきた矢先に、
僕からちょうど二人分くらい先で、男にしてはやけに甲高く怒りを含んだ大声が聞こえた。
怒っているのは30代前半くらいでやや大柄の小太りメガネ、直毛の坊ちゃん刈りで、
中学生時代に小学生を集めてガキ大将を気取っていたようなタイプの男。
怒られているのは、銀縁メガネが大きなウエイトを締める顔面から気の毒なくらい内気さを漂わせた小柄な青年(少年?)。
会話を聞く限り、原因はどうやら銀縁メガネの青年が「列に横入りをした」とか「バックを背負ったままだった」とか、よくある些細なことのようだ。
でも、小太りメガネは長距離路線のそう短くない駅間中ずっと執拗に怒り続けていた。
・「割り込みは窃盗とか殺人と同じように犯罪なんだよ。知ってた?今から警察行く?」
・「こっちは迷惑してんのにニコニコ動画見てるなんて優雅なもんだな」
・「そうやって、黙って俯いてりゃ終わると思ってるんだろう。そうだよな?早く終わらないかなって」
初めのうち、二人は知り合いだと思っていたが違ったようだ。
距離感も間違っているし、言動も一歩以上注意のレベルを超えている。
甲高い声く妙に芝居ががった口調で勝ち誇ったように怒るその様子に僕は、何も考えられないほどイライラしていた。
(他の乗客もそうであってほしい)
小太りメガネはこんなことも言っていた。
「君みたいなのは社会のルールとか人の迷惑とか、気がつかずぼーっと生きて30代、40代、そして死んでいくんだろうな」
もう限界だった。どんな人でも、ましてや赤の他人が言い放っていい言葉じゃない。
僕はこういう言葉が相手の人生を大きく傷つける可能性があることを多少なりとも知っている。
そして、その場面を黙殺するということは、同じように自分の心に傷を残すということも。
今にして考えると情けない台詞だ。小太りメガネの「社会のルール〜」云々の台詞に対する皮肉として言ったつもりだけれど、果たして伝わったかどうか。
その後、小太りメガネの声は小さくなったものの、私に注意されたことを青年のせいにしようと声をあげたので、2度3度注意はしたが・・・。
そんなやりとりをしているとやっと駅に着いた。
僕を含め3人とも同じ駅だったようで、小太りメガネは捨て台詞として青年に「顔は記録したから」と言って足早に去って言った。
その直後、怒られていた青年はホーム上にうずくまるように倒れた。
原因は不明だけれど、おそらく小太りメガネからのストレスだろう。僕は駅員に事情を簡単に説明しその場を去った。
一体僕はどうすればよかったのだろう。
例えば「明らかに言い過ぎ。うるさいし迷惑だから黙ってて」と二人の間に割り込めばよかったのかもしれない。
あるいは、倒れた青年に「あなたも悪いかもしれないけれど、相手の言っていることは明らかに異常だから」と伝えればよかったのかもしれない。
まあ、どちらにせよ今回は、ほぼ僕が自分の義憤を満足させるためにとった行動だからあんまり大きなことは言えないけれど。
偉いな、ちゃんと言えるのすごい 困ってる人を助ける系はとりあえず声かけれるけどこういうのは怖くてできないよ 偉いと思う