新卒2年目の弟とアラサー社会人の私とでは何もかもが違う。対して苦労もせず早々に総合商社に内定貰った弟と違い、私は男だらけのメーカー勤務。高身長でイケメンの弟と違って私はメガネで低身長のオタク、あとブサイク。
親は弟を贔屓してたから、とにかく家から遠い県立の女子校(栃木では普通)に進んだ。ものの見事にオタクに染まった。頭は悪くなかったようで、国立大学に進学した。弟は都内の共学高校へ進み、モテモテな日々を送ってたらしい。たまに雑誌にも出てたし端役でドラマに出たこともあるとか聞いた。大学はお金持ちの子が多く通う私立大学へ進んだ。サークルはオールラウンドらしい。たくさん稼いでたくさん使う楽しそうな学生生活だった。私には絶対に手に入らない生活。芸能人と遊んだこともあるらしいし、友人の飛行機の運転だってやっていたらしい。卒業旅行はアメリカ周遊だってさ。学費は親持ち。
一方、私は学費を半分自分で払わされた。女だから?とにかく腹が立つ。色々と嫌になったので旅に出まくっていた。バックパック背負いながら全県制覇した学部2年、中央アジアを一人で駆け回った卒業旅行。サークルはオッサン臭い音楽を一生懸命やっていた。友達はだいたいオタクだけど気がよく合っていて、発泡酒片手に公園でタバコを更かしながら遅くまで話していた。
家庭環境が崩壊していたので遠くの会社に進んだ。文系だけどなんとか大手メーカーに潜り込めた。本当に良かった。作業服を着て汗を流すのは性に合っていたし、現場のオッサン達とタバコを吸いながらゲラゲラ笑うのは、ようやく社会に溶け込めたみたいで安心した。狭い寮でオタク会したり、古民家貸し切ってスマブラ大会したり。居心地のいい会社だった。
するとなぜか弟も近くの支店?支社?に配属になった。関西が本社とは聞いていたけど、嫌いな弟と生活圏が被るとは思わずに一気に嫌な気分になった。こっちで出会った彼氏(同じくオタク、他のメーカー勤務)とのデートを見られるかと思うの身の毛がよだつ思いだった。
こっちはものすごいコンプレックスを弟に対して持っていて、向こうは未だに私のことをオタクだのキモいだの言ってきて本当に腹が立つ。一年のうち363日くらいは大嫌いな家族のことはすっかり忘れているのだけれど、年に2回くらい連絡が届いて一気に最悪な気分になる。
格好良くておしゃれで友人も多い弟、地味なオタクで親しい人たちとしか絡めない情けない私。いくつになってもこの構図は変わらないんだと思う。