なんだそうだ。男はハナから痛みを感じることができないからしょうがないが、
他でもない「女である自分が痛くない」のに生理痛くらいでそんなに痛がるなんて大げさだ、と責めてくる、
始まった時からなかった。
性教育の授業で生理は腹を絞られるような痛みを伴う、気分が落ち込む、頭痛がする、倒れる人もいると。
様々な「いずれやってくる生理への恐怖」を学んだ。
私はその理不尽に確約された痛みや精神の乱れを恐れて待っていたが、実際はあっけなかった。
痛みはなく、時々思いもしない時に股から出てくることもあるが座っていれば大抵はちょっとナプキンについているくらいだ。
最初の2日はさすがに量こそあるものの、休憩にトイレに立った時にまとめて便器に垂らすことができる。
5日くらいであっけなく終わる。
「これが、ノストラダムスの予言のように…私たちに課せられていた生理というものなのだろうか…。大したことないぜ…。」
漫画なら油断した主人公たちに強敵が襲い掛かるところだ。襲い掛からなかった。
しかし同年代の女子には次々と予言されていた恐怖が訪れていた。
多くの女子がこうだった。気の毒だった。痛みをわかってあげられないのは申し訳ないな、と思った。
「私は周期が乱れちゃって、いつくるかわからなくて怖い」
「生理が始まると痛くて何も手につかないよね」
答えに詰まりぼそっと答えたが、女子たちはエッ!!!!という顔をした。
「痛くないの?!羨ましい!」
「痛くなかったらどんなにいいだろうね~」
口々に羨ましがられ、私の体質はほめそやされた。別に努力して得た体質でもないので照れていいのかわからない。
へえ…すいやせんね…。へへっ…。
しかし時々チクリと言われるのだ。
「私も昔はそうだったけど、今は酷いよ」
生理痛がない、ということは少なからず理不尽に耐えている彼女たちの神経を逆なでるのだ。
そうなのかな。いつかやべえ腹痛が来るのかも。
私は26になっても、いずれ来るかもしれないノストラダムスの予言に怯えている。
いや、ノストラダムスの予言が的中し、痛みのさなかにいる彼女たちからすれば許せないことなのかもしれない。
自分たちが理不尽に苛まされている苦痛を感じたことのないヘラヘラパッパな女が存在しているなんて。
産むかどうかも分からないシュレディンガーの赤子のために勝手に体が準備しているなんて迷惑でしかない話だろう。
理不尽だ。最悪だ。毎月そんなものと闘っているのに、この女はそれを免除されているなんて~~!?
たいていの分別のある女性たちは思っても、万が一思ってもこのアマ、許せね~~!!お前も痛めぇ~~!!!!天誅!(万力で私の下腹部をつねる)とは言わない。
時々理不尽に耐えられない女性が、私にチクリと言いたくなるのだろう。
お前以外は、この痛みに耐えているのにと。
「増田ちゃんは生理痛がないから、私の気持ちなんてわからない」と言われたとき、
私は深い深い感情の断絶の谷を想った。
キンタマを蹴られる痛みもわからず、生理痛も知らぬ、私はちゅうぶらりんである。
苦しみを与えられないことを、分かち合えないことをこれほど後ろめたく思うとは。
大多数の人間が体験することを、自分が知らないことの恐ろしさ。
私には痛みが分からない。だから理不尽な苦しみに苛まれている彼女たちの真の苦しみは分からない。
いつかこの腹が痛むのかもしれない。痛んだ時、同じように痛みのない女を理不尽に恨んでしまうのかもしれない。
私に痛みが訪れないうちは闘うあなたたちの苦しみに思いをはせ、
できる限りの仕事を代わりに担いたいと思っている。
あなたたちが婦人科にかかるとき、その間代わりに働いていよう。
だから世の女性たちよ、生理痛のない女がいても、ちょっとだけ許してくれ。
これは生理に関わらず、はたからの目には見えない苦しみと闘っている全ての人に言えることだが。
自分が知らない苦しみを抱えている人を私たちは問答無用で気遣うべきなんだけど…。
生理は多くの女性が抱えている苦しみだから、男にもこの辛さをわからせたいとか、そういう話になりがちなのかもなあ…。
なんとなく生理が2日目なので書いた。
実際には重い人って3割ぐらいらしいよ
マジで年々重くなる人もいるから今だけかもよ。女には更年期もあるし人生長いし大変だよな
自分からその話しなきゃいいのに
普段から嫌われているのでは