2018-08-09

(アスペルガー)の彼女

アスペルガー彼氏というブログを読んで昔のことを思い出した。

から10年近く前、私の部署に中途社員が入ってきた。

彼女は明るい性格で、人と打ち解けるのも早く、

最初は良い人が入ってくれたと私も安心していた。

ところが、働き始めて少し経つと言葉にしくいような違和感を覚えるようになった。

言葉にしにくいというのは、二つの意味がある。

単純に言語化しにくいということと、自分が嫌な奴のように感じてしまうので言語化するのを避ける、という意味だ。

ただ、同性の先輩はそのブレーキが掛かり難かった。

このままだとマズイなと感じ、

私は彼女仕事雑談の中に自分の失敗談、

時には他人とのコミュニーケーションでのそれを話すようにした。

そうすることで彼女も同じような経験を話してくれるかもと思ったからだ。

そして、彼女は話してくれた。

勤務先の受付に同僚が飾った花を『え~、これ趣味悪くないですか?』と本人の目の前で言ったこと。

その際に隣にいた同僚から『そういうことを言うべきじゃない』と怒られたこと。

会議中に上司が話した販促策を自分の顔の前で手をたたきながら『それは、立派な策ですね~』と笑ったこと。

上司が怒り狂って資料彼女に投げつけたこと。

ご主人が寝ているベッドの隣で男性の友人と楽しく会話をし、

相手冗談に大声で笑った時にご主人から怒鳴られたこと。

その他、聞いている私もかなり心臓に来るエピソードが延々と続いた。

そして彼女は私にこう言った。

『みんな、ひどくないですか?』

あぁ。

彼女相手に非があると思う理由はこうだった。

花の時は、それを話した友人が『まあ、確かにあの花より〇〇の方が良かったかもね』と言った。

会議の時は、『友人が後で私に、ああいうことする人だからね』と言ってくれた。

ご主人は何だったか、すまん、忘れた。

特にご主人のエピソードは多すぎて、『物静かな人だったのに、本当はあんな人だったなんて』という言葉

どう返して良いかからなかった。

その言葉彼女にとって真実になってしま可能性があると思ったから。

ただ、その可能性があることが分かったので、

その日以降、自分彼女に対する対応を変えるようにした。

当時はAIR H"の時代だったので、今のように情報が氾濫しているほどではなかったが、

それでもある程度の知識を持つことが出来た。

仕事の内容を変え、話し方を変え、周りへのフォローをした。

アスペルガー可能性があるとは他人には言えないので、非常に難しかった。

ある時、彼女はたわいもないミスを犯した。

自分は『あぁ、俺も時々やるから大丈夫だよ』と言った。

でもそれが彼女の何かに火を点けてしまった。

おそらく彼女は、私が彼女への対応を変えてから

それを不満に思っていたのではないかと思う。

自分いか仕事が出来、社会人としても問題なく、

私がいか他人理解していないかを強い口調で話し始めた。

そして今回のミス自分ではなく、あなた(私)の責任であると責め始めた。

自分は静かに聞きながら、彼女自分が正しいと主張するために

微妙事実を変更しながら話している部分について、

例えば指示と行動の時系列や、仕事の分担の境界線の誤りだけは指摘しつつ、

今起きている問題が大きなことではないことを話しながら彼女感情が収まるのを待った。

でも、彼女はおそらくそうした私の計算も気づいていて、

それが逆に気に入らなかったのだと思う。

感情は増幅し、『辞めます』という言葉が出てしまった。

そして私は頷いてしまった。

彼女アスペルガーであったかどうか、本当のところは分からない。

でも、もしそれが本当だとしたら、自分にとっての誤りは

『それでも自分なら正しく対応できる」と過信したことだと思う。

表面上の問題が起きていないことを、うまく出来ていると思い込み

それが彼女にとっても良い状態であると誤解した。

退職の日、彼女は私にお礼を言って、プレゼントをくれた。

今でもそれを見ながら考えることがある。

彼女アスペルガーだったのか、そして私はどうすれば良かったのか。

自分の誤りは分かる。でも、正解は分からない。

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