先輩は、毎日定時退社を勧めてくれる。
だから平日は、定時になれば会社からいなくならないといけない。
持ち帰って、仕事をしている。
なんなら出勤退勤中も仕事をしている。
そうでもしないと締切に間に合わないからだ。
こんな生活を送っていると友人たちにたくさん言われる言葉がある。
「ブラック企業じゃん、すぐ辞めなよ」
もうすぐ夏に差しかかろうとしている今、この言葉が、ものすごく嫌いだ。
なぜなら
たったそれだけのことだ。
好きなことをして、お金がもらえる。
これ以上、良いことがあるとは思えない。
そもそも私のアイデアを買ってくれた今の上司が、職場に呼んでくれた。
「来ませんか」
上司は、趣味の界隈では、名前がよく通っている、いわゆる有名人。
そんな人が、自分の(人が言うには)変なアイデアと、乏しいスキルを買ってくれた。
給料が良いとは言えないが、それでも、毎日が刺激的でとても楽しい。
自分のアイデアをノートに書き散らかして、上司にプレゼンをして、ディスカッションをする。
それだけではない。
事務のお姉さんやお兄さんにも聞く。正直、人と話すことは好きではないが、職に深い理解を示してくれる人たちはいつでも仕事の手を辞めて、優しく対応してくれる。
時には、職場の外国人を捕まえて、アイデアをどう思うか尋ねる。高校時代、英語はずっと欠点だったが、話せる人を増やすツールだと捉え直すと、勉強にも身がはいった。
みんな
「こうしてはどうだろう」
「いいね、それ」
みんな、楽しそうに話をしてくれる。
だから、アニメや漫画、ゲームをずっと嗜んできたのに、もうしなくなった。
十年以上続けてきた同人もやめた。オンラインでも久しく活動していない。
実家の押し入れに置いてきたソロキャンプセットも、そろそろホコリを被っているだろう。
今はせいぜい、飼っている猫の観察をするぐらいしかしていない。
それでも私は「これで良い」と納得している。
体を酷使していることはよく、わかっている。
ずっと通院をしているから。
そもそも長く生きるつもりはない。
私がいなくても、私が残したアイデアたちが生きている。
人の手を渡って、形を変えながら、これからもずっと生きていく。
だったら、人の手に渡る前にちゃんと育ててやるのが親の役目なんじゃないだろうかと思う。
とはなかなか言いにくいので、愚痴程度に書いておく。
アメリカで奴隷解放宣言されたとき、それでも奴隷を続けたいという黒人がいた。 今の日本人みたいだね?