2024-10-11

父の死後のこと

がんだった。

長く病みつつも7月まで働いていたが、8月には歩けなくなり、10月には入院もした。

父は家で過ごしたいと言って、自宅介護が始まった。

余命宣告は年内もつかどうか、だったが、3月誕生日も越えて、4月に父は身罷った。

深夜だった。

  

訪問看護師さんに連絡し、看護師さんから主治医に連絡してもらい、主治医から死亡診断書を受け取って、

看護師さんとエンゼルケアをした。

看護師さんはたびたび来てくださっていた方で、男性で、

深夜に叩き起こされただろうに嫌な顔ひとつせず、頑張りましたね、と父を労うように支度してくれた。

死に化粧だけはどうしても苦手で……お嬢さんが手伝ってくれないだろうか、と申し訳無さそうにいうので、

わたしは死んだ父の顔に化粧水を塗り、乳液を塗り、下地を塗ってファンデーションを塗った。

チークをほんのりいれると、寝ているだけのように見えた。

  

翌朝葬儀屋遺体を預けてから、すぐに各種手続きに追われた。

火葬場が混んでいるそうで、葬儀までに予想外に間が空いたのだった。

父に遺産はなく、借金のほうが多そうだったので、相続放棄もしなければいけなかった。

引き出したら相続承認したことになるので、父の口座にあるお金はもう使えない。

両親は同居してはいるが離婚済みで、色々あって元サヤに戻ってはいたが籍は戻していなく、当面の相続人は私だけだった。

  

役所へ行って、年金事務所に行って、法テラスに行って、信用情報機関負債の照会に行って、

火葬を済ませて、相続放棄手続をして、親類に連絡をして、父名義の各種契約の終了をして、

父は自営だったので廃業手続きもしなきゃいけなかった。

相続人でない母がこのままこの家に住み続けられるような手続きもだ。

会社を休んだ数日でしなきゃいけないことが多すぎた。

人一人が世界からいなくなることの重みを感じた。

父が本籍居住地に移しておいてくれたことを感謝した。出身地が他県なので、そのままだったら戸籍類の取り寄せだけでえらい目に合うところだった。

今は全国から取得できるようになったんだっけ?今後手続きする方が少しでも楽できるといい。

  

葬儀火葬だけの家族葬で、およそ20万円かかった。

余命宣告されてから探して相談しておいた葬儀屋さんにお願いした。多分すごく安く済んだ部類なんだろうが、相場がまったくわからない。

お金がないのでずっとどきどきしていた。払えてよかった。

親の死に目に金をけちるなんてと悲しく思う心もありつつ、この先暮らしていくだけの資金だって必要だった。

火葬場へ遺体を持ち込むための自家用車と、火葬日まで遺体を安置できる場所があればもっと安く済むんだろうか。

棺桶Amazonで買えるようだったし。

DIY葬したよという方がいたら聞いてみたい。

  

もう数年経つけど、未だにお父さんどうして死んじゃったんだよと寂しく思う。

こういうのは順番だから、いつかはお別れがくるのだとわかっていても、なんでだよ、と思う気持ちが消えない。

晩年の寝たきりの頃でなく、元気だった頃の父にまた会いたい。

今でも家を訪ねれば居そうなのに、もうどこにもいないことが寂しい。

お父さんの作った唐揚げが食べたい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん