2015-01-09

http://anond.hatelabo.jp/20150109163438

自分たちの学年は、医学部にしては珍しく馬鹿揃い、との評判だった。

確かにキレッキレの天才っぽい人間は皆無。

とにかく多浪が多く、現役を0と計算しても平均2.x浪というような感じだったと思う。

でも自分はこの浪人組の人たちが大好きだったし、なによりも素敵だったのが、

この学年は上の学年から落ちてきたほとんどの先輩たちを道連れにして、

一緒に卒業した奇跡の学年だった、という事だった。

むろん国試合格率は史上最悪だったがそれが何か悪いか?(翌年ちゃんと頑張って合格していた。東大みたいに国試不合格者が吹き溜まると大変だもんね)

10を超える多浪の人が何が違ったか、というと勉強スタイルが「孤独」だった事だろうか。

ノートも生真面目にとってらっしゃるから、「貸して見せてください」とお願いしたところが、

字がきれいなだけでまとまっていない、大変な物体だという事に気づいた数人は、これ以後、

「ねえ、○○さん、こちらのノートを読んでみてください。そして先生はこれを重要だと説明してらっしゃると思いますよ」

アドバイスする側にまわった。

しろこの人の人格が素晴らしくてなんとかしてお医者さんになって欲しい。

授業はもちろん最前列で聞いておられるわけだけれど、そのノートの内容は起承転のみで終わる小説のようだったから、

何人かでフォローするためにかわりばんこにノートを取った事を思い出す。

人格の素晴らしいその人だけでなく、中で何度も何度も足踏みしていた人々も沢山落ちていらっしゃったけれど、

それぞれ素晴らしい人たちで、留年するには理由があった。

彼らは年を取っている分記憶力が落ちるわけだからピンポイントで「こことここが大切!」と教えなければならない。

からこそ、集中して授業を聞くはめになってしまい、

それが自分たち勉強になってしまって、

自分たちは大した勉強をせずに試験には楽勝で通ってしまっていた。

そして彼らもなんとか一緒に卒業できて本当うれしかった。仲間は大切よね。

(教える側に回っていたのは自分も含めて5-10人ぐらいいたと思う)

基本的学力があって、入学試験突破してきてもかなり勉強しまくらないと医学部は厳しいかもしれないけれど、

自分不思議全然楽に感じていたのは彼らのおかげだと感謝しています

むろん今でも尊敬できる素晴らしいお医者さんたちで活躍している。

20何浪の話を聞いたら、医学部勉強集団以外でしたことがなかったのを思い出した。

勉強って楽しいですよね。

追記:もしも同クラスの人がいたらごめんね。

これは医学部教育問題について言われているいくつかの問題のうちの一つについて考えている。

ノートが「起承転」と書いたが、これは何を意味するかというと「正しい答えは出せるのだが、時間がかかる人がいる」の比喩だ。

優秀な人には何種類かいるが、医学部には判断力が早い人がかなり多いし重視される。

でも優秀さには時間で測れない物差しがあるはずで、そういう人達たまたま自分たちの学年に集まった。

ある人々は浪人で、ある人々は留年で。でも現状ではそういう人が受験前にふるい落とされたり学内孤独勉強してふるい落とされたりするのではないか。

医師成熟した人間が少ない」の答えの一つはそれなのではないか?物事ゆっくり考えない、、、

その後国家試験合格しているのだから知識そのものにはなんにも問題ないことはわかるはずだ。

そして医師になってから彼らの実力を喜んだのはむしろ患者さん達の方だった。やばい医師どころか最高の医師だと思う。

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