2022-12-25

都内ベンチャー企業に勤務していたら退職勧奨を受けた話

個人的な話ではあるが、なかなか珍しい事だとも思い、1つ書いてみようと思った。

他の人にとっても、この事例から得られることがあるかもしれない。

先に結論を。



私が、AI 技術自然言語処理技術を展開する都内の某ベンチャー企業 E に入社の誘いを受けたのはしばらく前のことになる。その誘いは代表取締役から直接受けた。

当時、私はAI 技術特に自然言語処理には詳しい訳ではなかったため、始めはどういう風の吹き回しかとも思ったが、最終的にはその誘いに乗り入社した。

私は一方で学業もあったため、パートタイムとして契約した参画だった。社内的にはインターンと称しているらしい。

入社後は専門的な知識キャッチアップしていたが、しばらくしたのちあるプロジェクト専任として関わることになった(ほぼ1人プロジェクトであったため、専任も何もないが…)。

先端的な技術を扱い、難易度の高いプロジェクトだった。

そして、この間に正社員としての話を持ちかけられた。私自身ちょうど就職活動をしていたことにも重なり、すでにいくつかの内定を持っていたが、別の選択肢考慮しようとも思い、話に進んだ。他の社員取締役 K と面接をし、最終的に代表取締役から内定を渡された。

そして、他の内定とも比較検討した結果、先述したプロジェクトチャレンジングかつ大きなもので、それに引き続き携わる責任も手伝って、同社の内定を承諾した。

これに伴って、契約形態も「正社員相当」といったものに変化した。

これは権限などは正社員と同等といったもので、しか学業研究がある身分でもあるため、その間の給料の支払いはパートタイムと同じというものだった。確かに、その旨は、業務内容は内定が示す(AI エンジニアかつプロジェクトリードといった)内容に準ずるという形で、契約等に明示されていた。

学生正社員相当として使うということは、今では少しずつ聞くようになったのかもしれない。例えば、自動運転車を開発するスタートアップ TURING が「ネクストコア制度」を導入し、「ネクストコア学生社員」を募集している。これはそのような1つの成功形態かもしれない。

正社員としての入社前に、正社員あるいはそれに近い形で勤務できるという点も、就職を決める上では1つ大きな要素として考慮していた。それは経済的理由もあるし、また、どのタイミングでも重要仕事をまっとうしたいという側面もあった。

実際、他に得ていた内定でも、早くから正社員と両立するような内容を盛り込んでもらっていた。

その後、正社員相当としてしばらく勤務していたが、その間に退職相談を受けたという話である

ある時、取締役 K から、「価値観の相違があり、今後の中長期的な不幸を考え、辞めてくれ」という話が来たのだった。そして、同時に、業務を休むように告げられた。

これまで関わっていたプロジェクト始め、正社員相当としての権限等を剥奪された。あまりの異常事態に、まずは基礎事項としてどのような契約だったかを問いただすと、取締役 K は「インターンですよぉ〜?」と言うだけで、これ以上有意義な話ができそうにはないと思われた。

突然のことに、当然驚きがあった。代表取締役には、内定時に、「同プロジェクトは大変だが頑張ろう」とも言われていたこともあったためである

私を誘った代表取締役に事の詳細を聞いてみると、「本件については K に一任している。」という一点張りで、取り付く島もなかった。

その後、数ヶ月にわたり取締役 K との地獄のやりとりが始まる。

解雇でなければ、退職するかどうかは従業員自由意思に委ねられるところだと思う。しかし、正社員相当として与えられていた権限剥奪されたため、業務に関わることはおろか、プロジェクトや、週次の正社員ミーティングや、また 1on1 等の機会が失われ、社内の人間関係からも切り離された。

この状況下で関わりが持てる会社との接点は、「退職相談」を一任した取締役 K だけだった。

すべて取り上げた上で、「相談」の話を毎週繰り返し持ちかけられた。

私が「とりあえず、内容を文面にしてから正式に話してもらいたい」と言えば、取締役 K は「文面にするのは文言の使い方に相当気をつけなければならないから、文は書けない」と言い、(退職に応じる義務はないため)私が応じずにいると、取締役 K からは、「相談にすら乗ってもらえず…」という苦言が飛んで来た。

こうして、業務から人間関係からも切り離され、会社に関わるなら、退職相談に応じるしかないという追い込まれた状況がしばらく続いた。

その間にも、人事担当者とだけは多少の話ができてはいた。契約などの確認をし、どういうことなのか確認する機会にはなった。その点、解決の糸口になるのではないかと期待していた。

しかし、人事担当者との話も結局は解決には至らなかった。むしろ、人事担当者から「嫌な業務アサインがあったら、辞めたいとなりますねぇ」と告げられる始末だった。

その後、取締役 K から業務を変更したとして、元関わっていたプロジェクトから外される旨が告げられた。代わりに、契約に含まれていない業務を、まさに退職を持ちかけてきた張本人である取締役 K のもと行なう、というものに変更された。

そして、業務変更を受けて休業が明け、現在に至る。今後どうなるのかは正直分からない。

正社員を辞めさせるよりも、正社員相当として働かせていた正社員ではない人材を辞めさせる方が都合が良いことだけは確実そうだ。

かろうじて話し合いをしていた人事担当者対応にすら、もはや望めるところはなさそうに思える。

契約や今後の契約である内定について、その不備等を含めて確かめると、確かに修正必要かもしれないとして、対応してくれた。何らか会社が認める「事由があり、入社不適切だと認められる場合には、内定を取り消す」という文言を紛れ込ませるありがたい修正内定に入れてくれるほどだった(幸い、この修正には気づくことができたが。)

しかるべき就職活動はしかるべき期間で行なった結果、内定を受け最終的に正社員という地位があると思っていただけに、あらためて就職活動を行なう機会損失と、精神的な落胆は小さくはない。しかし、このベンチャー企業で働く将来も想像に難いだろう。

特に技術系の人材不足もあり、学生正社員のごとく使う向きはあるのかもしれない。ともすれば、やりがいを与えて安く人材を使うという側面が窺えるかもしれない。

そういう場合もあるだろうが、必ずしもそういった場合ばかりとは思わない。きちんと制度化し、真っ当に運用しているならば、それは好都合に作用することもあるのかもしれない。

しかし、今回はどうやらその場合には当てはまらなかったようだ。

現代における技術人材獲得のグレーゾーンなのかもしれない。

2022年12月24日記す。

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