2021-06-03

菅義偉に見る、エグゼクティブオンライン会議セットアップ

まずはこのニュース映像を見てほしい。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210602/amp/k10013064721000.html

日本政府主催した国際会議ワクチンサミット菅義偉茂木敏充発言という話だ。

内容は、途上国ワクチン供給する資金提供し国際枠組みでやる、アメリカはじめ西側諸国協調して、でもアメリカ以上の拠出金にならないように調整しつつ、中国ワクチン外交に対抗していきますよ、と言う話である

まぁこれはよい。がんばってほしい。

良くないのは、菅義偉茂木敏充会議絵面であるどうしてこうなった。だれかきちんと見る奴はいないのか。

エグゼクティブが国際会議に出るなら、多少は知識のある奴がちゃんとやれよ。もうオンライン会議になって1年以上たってるが何故こうなのか。

日本行政系のITオンチ煮詰まったような画面になっているので、批判する。

何が駄目か

列挙すると


詳しく説明する。

マイクがクソ

何故か会議室のマイクをもぎ取ってきたようなグースネックマイクを使っている。しかも端に置いてぐーっと伸ばして口元に持ってきている。

なんだこれは。

カメラが正面にあり、しか話者椅子から動かない想定なら、カメラに高指向性ガンマイクをつけて音をとるのが第一選択だろう。メリット

EU大統領はこのスタイルのようだ。

デメリットもあるが、今回の場合問題にならないだろう。

それが無理なら、次はラベリアマイク、いわゆるピンマイクにするべきだ。ラベリアマイクはかなり調整が難しいのだが、上手く取り付けられれば、安定的に音が拾えるので便利だ。

そしてそれすら無理なら、普通の会見のようにマイクスタンド普通マイクをつけてやるべきだ。アメリカはこのスタイル。そのマイクテーブルの前下から狙っても十分に音が拾える。

どうしても会議室用グースネックマイクしかないとしよう。それにしてもマイクの使い方が間違っている。

会議室用グースネックマイクは通常単一指向性比較的感度が高い。具体的に言うと、マイク真正面が最も感度よく音を拾い、雑音が入らないようにそれ以外の音をできるだけ拾わない設計になっている。

故に、基本的にはできるだけマイクが口の方を向くように設置するのが正しい。また、口の方を向くように設置したら、口とマイク距離がかなり離れていても音はきちんと拾ってくれる。

一方でこれはなんだ。画面の端に寄せて横からマイクをあてている。それで菅義偉の者の声が音が小さかったのか、不自然に伸ばして近づけている。一方で茂木敏充は声が出かかったのか、マイクは下に伏せられている。

使い方を間違えている。グースネックマイクはできるだけ正面に置け。正面に置きさえすれば、少し下側にあっても音はちゃんと拾ってくれるはずだ。そして、声の大小はミキシング側で整えるべきで、マイク位置での調節は最小限にすべきだ。

政府記者会見場のマイクをみよ。あのマイクはグースネックではあるがワイド指向性マイクだと思われる。あのようにきちんとそうなっているのに、どうして今回はこうなったのか。

水がクソ

何故か画面の端に水が置いてある。これも非常に中途半端位置に。しかも謎の瓶。

ペットボトルでないのは評価しよう。SDG’sの観点からプラをやめたんだね。これはわかる。わかるが、何故もう一歩進んで、水差しにしなかったのか。国会ですら、あるいは通常の会見ですらちゃんと水差しを使っているのに、何故こんななのか。

いやちがう、瓶そのもの問題なのでは無い。このように無計画中途半端に画面に入れてしまうのか。

置いておくことで何らかの演出効果を狙うのならば、きちんと水差しを使うなり、瓶である事が大事ならば近くにおけ。戦略も無くだらだらっと置くんじゃ無い。そこはテーブルじゃ無い、舞台、あるいは戦場なんだぞ。

名札がクソ そのせいで画角がクソ

物理三密会議用の名札を出す必要は無いだろう。

今回の名札は、物理三密会議での名札をそのまま置いてしまっている。その名札が入るようにカメラ位置を決めたことで、画面が中途半端になっている。それでもカメラマンは正面に菅義偉が映るように工夫したのだろう。文字が画面のギリギリにして、上によせている。努力と苦悩は分かるが、これがさら中途半端雰囲気を醸し出してなんとも垢抜けない。

しかも、映像からはこの名札、完全な黒ではなくて、微妙に濃いグレーのような文字色になってる。おそらく柔らかい印象を与えたいという意図なのだと思うが、映像場合そんなニュアンスは飛んでいるし、相手環境によっては読みづらい印象を与える。

そもそも映像だけなら物理名札は不要だ。合成が読みやすい。他の中継先から映像字幕があるようなのに、なぜ菅義偉茂木敏充だけは物理名札か。

合成方式であれば、カメラ画角自由に設定できる。NHKニュース映像では、実際の映像クロップし、顔がバランス良く映るように調整している。物理名札さえなければあのようにセットして映像を流すことができたはずだ。

背景がクソ

政治家の無茶なオーダーに対して、会場を作った人の苦労がにじみ出ているのはわかる。わかるがクソだろう。

まず、日本国旗は白に赤なのに、何故背景が白なのか。なぜ花が白なのか。アメリカをみよ。自国国旗特性をよくわかっていて背景を作り上げている。

さらに、背景に中途半端に入った謎の模様は何を意図している?  ビバホームで売れ残っている壁紙でも買ってきたのか?何がしたいのかわからない。

背景とは演出である雰囲気空気感を作るものだ。なんとなくでやってはいけない。

比較的安上がりで雰囲気を出すには、カーテン有効である。例えば内閣官邸記者会見場などがそうだ。少し落ち着いた色を用意して、そこに国旗を掲げる。

花は不要だ。花は目立つ。今回は菅義偉を完全に喰ってしまっている。メインは菅義偉なら、後はそれを引き立てるようにせよ。これではだれに注目させたいのかぼやけてしまう。どうしても花を入れたいのなら、ワンポイントにするべきだ。

そもそも首相官邸ならばきちんと整えられた相応しい背景のある会議室がいくつもあるはずだ。木材の集積材を使った壁、焼き物を使った壁、竹を取り入れた和紙壁紙を使った壁、いろいろな背景があるのに、どうしてこうなったのか。あるいは、既に1年たった。執務室風のようなスタジオを作っても良かったのでは無いのか。

聳え立つ巨大な他山の石

これを他山の石とすれば、エグゼクティブによるオンライン会議セットアップをどうすればよいのかわかってくる。

カメラ自然ボケとピントがきれいに合う、デジタル一眼系のカメラを用意すること。ピントと自然なぼけみが得られれば、周りがほどよくぼけて、ピントが合ったところ、話者が自ずと浮かび上がってくる。

マイクは適切なものを適切に使うこと。一人に一台固定カメラなら、カメラから指向性の高いマイクで狙えば良い。最低限ホール用のマイクを使う。会議からもぎ取ってきたようなマイク適当に使わない。会議マイク会議室でよいようにできているのだから

机の上に置くものや背景などは、それらが全て印象を決めると心得て選ぶこと。目的は何で、誰を引き立たせるのかを考える。難しければできるだけものを置かずにシンプルがよい。

必要な道具や原稿をどうしても置かなければいけないのならば、画面の外に追い出せばよい。映らなければないも同じである

逆に必ず写すべきもの存在すると、それを映るようにカメラの設置に制約がでるのでしっかりと設計をすべき。

  • 会社でセッティングしてるが年寄りの要望に合わせるとまさしくこんな感じになる。 水たまりに突っ込んでいく幼児と同じで、意見しても殆ど聞いてくれないから現場も諦めモードだろ...

  • 社内SEやってたけど、こういうのができる人は本当に尊敬する 本来、専属の撮影・機材エンジニアの仕事なんだよなあ よく考えたらカメラ・オーディオ系の仕事とITシステム同時に見ろ...

    • さすが専門家としかいえないよなあ こないだの「圧縮マン」を暴露してた人とかも尊敬する

  • しょうがないだろう日本はオリンピックに注力してんだから なんもかんもできるか

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん