2020-10-04

若者が来てくれない、何考えているかわからん、やる気も無い」

比較的上の世代経営者層の方と話をしていると、よくタイトルのような話題が出る。「来てくれない」ということについては、自分たまたま周囲に若者が多い環境なのであまり実感は無いのだが、まあ実際若者人口絶対的に減少しているというのもあるし、「やる気がない」とか「考えていることがわからない」ということについては、多分いつの時代も言われていたことだろうなーというくらいに思っていた。

ただ、最近もうひとつ可能性を深く考えている。それは、時代の急激な変化にあわせて、近現代においては稀なレベル世代間の価値観に大きな分断が生まれているのでは無いか、ということ。

例えば2008年リーマンショック。そして2011年東日本大震災。それらでこれまで積み上げていたものがあっさりと崩れ落ちる体験。そして、少子高齢化がもはや打つ手なくなって日本は衰退の一途をたどるしかないということが共通認識になってきたのも、震災前後記憶している。

多感な時期にこれらを経験した層が、今「若者」と呼ばれている。その結果、例えば、以下のようなことをぼんやりと考えている人が多いのではないか(仮説1)。

●がむしゃらに働いてもどうせ報われない

経済優先で男性優位な社会構造によって生じる歪みに問題意識

リスクを避け無難選択を優先する

●今が一番幸せ。将来は、暗い

逆に言えば、以下のようなことも考えているとも言える(仮説2)。

お金重要ではあるが、もっと幸せになれる働き方がしたい。

経済優先にこだわりすぎず、もっと多様な価値観を大切にしたい。

大企業倒産する世の中で、本当に安心できる生き方を探したい。

●暗い未来を、なんとか変えたい。

この感覚は、旧来の価値観を捨てられないと、なかなかに理解しにくいのでは無いか

そこで最初の話に戻ると、「いくらがんばっても若者が来てくれない」「今の若者はやる気が無い」「今の若者は何を考えているのかわからない」という悩みは、上記理解し彼らの考えに深く寄り添うことで多くの場合解決できる。つまり、「やる気が無い」のではなく、「努力方向性がこれまでの世代と全く違う」(仮説3)ことを受け入れる必要がある。具体的には、以下。

お金や昇進だけでなく、別の希望も併せて叶えてあげたらいい。

●多様な価値観を認めて、受け入れたらいい。

安心できる生き方を、一緒に作っていったらいい。

●それらが実現できたら、未来は明るくなると提示したらいい。

そんなこと簡単にできっこない・・・と思うかもしれない。しかし、いずれはそういうことをナチュラルに求める今の若者層以降が多数派となって社会を創っていくようになる。厳しい言い方をすれば、そのとき世界から拒絶されるのは今の大人たちの方ということになる。(仮説4)

そして、以下も考慮する必要がある。

●処理すべき情報量の圧倒的増加

今の時代は変化が凄まじく早く、行き交う情報量が、20年前とは比べ物にならない。ビジネス最前線で圧倒的な情報量を処理し続けるには、自ずとデジタルネイティブのほうが有利だと言える。スマホ中毒なんて否定的言葉もあるが、これから時代は水を飲んでご飯を食べると同レベル情報を処理することはプライオリティが高い。

●新たな価値に基づくブルーオーシャン開拓

旧来の価値観に基づくニーズはあらゆる分野がすでにレッドオーシャンになっている。一方、上記のような新しい価値観に基づく分野は、ブルーオーシャンである可能性が高い。それらのニーズを実感として理解できている若者層のアンテナ感覚は、より価値がある。

●高速に混沌化する世界

世界に目を向ければ、コロナを前提とした経済の再構築やらDXやら米中の覇権争いや北極海シーレーンやら、混沌が加速することは明らか。

自分はまだ40代になったばかりの新米経営者だけど、もう引退準備を少しずつ進めようと思っている。その代わり、若手の育成に注力する。ノウハウを若手にどんどん移転することで、それらが加速し、より大きな価値が生み出せるのではないか、と思うから。(仮説5)

まずは自分の手の届く範囲で、これらの仮説を検証してみたい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん