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2021-12-15

有機農業に関する一農家見解

https://togetter.com/li/1816350

なぜ有機機械を使ってはいけないという発想になったのかわからないが、こんな誤解をする人はさすがに少数だろう。

僕は慣行農業でやっている。慣行農業とは、有機農業以外と考えてもらっていい。

では有機農業とは何かというと、化学合成農薬化学肥料を使わない農法のことだ。ポイント化学という言葉化学合成とは自然界に存在しないということで、逆を言えば自然界にあるものなら農薬でも肥料でも使っていい。具体的には消石灰のような資材や、農薬としては塩化銅微生物農薬としてバチルスチューリンゲンシス剤などがある。マルチのようなものは合成物でもよい。土にいれなければよいということなのだろう。有機には厳しい認証制度があるので、この認証を取らない限り有機農作物を名乗ることは許されない…はずだ。たしか

僕の個人的見解だが、有機農業というのは肥料農薬を使いすぎた慣行農法へのアンチテーゼなんだと思う。四大公害とか出てて、沈黙の春とか書かれて、ベトちゃんドクちゃんとかそんな時代の話。

僕の近所で有機農業をやっていて名前が思い出せるのは農家10名くらいだろうか。その範囲で見る限り、有機を稼げるからという理由選択している人は一人もいない。共通しているのは、みんな有機農業こそが正しい農業だと信じているということだ。正しいというのは主観であって、それはつまり信念を持って農業をやっているということだ。それは意味がある素晴らしいことで、ほんと尊敬する。

稼ぐという点だけなら、有機より慣行の方が良い。そういう理由慣行転向した人もいる。これも一つの選択だ、全然悪いことじゃない。僕らが離農するということは、農地放棄意味する。無理してどうにもならなくなって放棄するぐらいなら、とりあえず稼ぐというのは重要なことだ。その土地の生まれであればもちろん、移住だろうと農業を長くやっていると、金銭とかではなく守るべきもの生まれる。簡単廃業しますってわけにはいかない。

慣行農業であっても、有機技術から学ぶことは多い。有機農業基本的には土を大切にする農業だ。植物の土台はやはり土で、悪い土は肥料成分などの化学性を改善する努力ではどうしようもないことがある。柔らかく保肥力があり、水はけが良く水もちがいい土。その視点有機農業にこそある。有機物が全くない土というのはただの鉱物からだ。

有機農業の難しさは、その理論が本当に信用できるかいかがわしいということだ。でも科学的根拠なんて農家に求めるものじゃない、彼らは研究者ではないし現場では科学はいつも現実の後追いしかない。科学的に否定されてるなら間違いは明確だが、否定肯定もされておらず正しそうという農家経験則の域を出ないというものが多い。僕らはそんな中から手探りで、正しいと思える技術選択していく。どうだろう、こんなのAIが出てきても絶対取って代わられることはない、僕はそう信じている。

閑話休題。もう一つ、何かと敵視される農薬についてわかって欲しいのは、慣行農業であっても農薬はできるだけ使いたくないということだ。金はかかるし、手間もかかる。毒性はほとんど否定されていても、やはり体に良いものではない。みんな必要最小限にしているというのは理解して欲しい。それに心配するほど毒性が強いなら農家なんかみんなもう死んでるよ。僕らが1番浴びてるんだから

 
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