2023-06-06

ベーシックインカム問題は、労働意欲の減退ではなくて財源

以下の記事話題になっているが、労働意欲が減退するかどうかについて語っているブコメをよく見る。

しかし、ベーシックインカムの真の問題は財源だと思う。

月間28万円のベーシックインカムイギリスが2年間試験導入

https://gigazine.net/news/20230605-universal-basic-income-in-england/

ベーシックインカムは全国民平等お金を配る制度だ。だから例えば全員に20万とか配るとなると、べらぼうな財源が必要になってくる。そうすると、所得税率を70%とか80%とかに上げなければならない。

稼いだお金ほとんどを取られた上で20万円を配られて嬉しいと思う人がどれぐらいいるだろうか。現状でも税金が高いという怨嗟の声を上げる人が多いというのに。(まあ、働いていないニートの人は税金を払うことな20万円を配られて嬉しいだろうが。)

というわけで、財源確保は超増税を引き起こすという問題がある。もちろんベーシックインカム推進派(特に新自由主義者)はそんなことは承知の上なので、別の策を提言している。それは各種社会保障廃止だ。

社会保障廃止してベーシックインカムに一本化

いま弱者給付されている年金失業保険生活保護健康保険などを廃止することで、ベーシックインカムの財源を確保しようという方法だ。しかもこれらの制度をなくすことで、各種事務手続きコストも削減できて、さらに財源を確保できると推進派は主張する。

かにこの方法なら超増税することなベーシックインカムを実現できる。

だがしかし、この方式は「強者に優しく弱者に厳しい」政策だ。

なぜなら、健康若い人であれば給付されたお金を全て生活費や遊興費に回せるが、慢性的病気を抱えた人なら、給付金を治療費に回さなければならないからだ。しか健康保険廃止されているので、10負担という厳しさ。透析とか受けている人なんかだと、治療費だけで給付金はなくなるだろう。

それを防ぐために、病気の人や高齢者には給付額を増額などすればいいという人もいるかもしれない。だがそれをした途端、社会保障廃止による事務コストの削減という大前提が崩れるので実施不可能

というわけで、ベーシックインカム実施すべきではないと思う。

富裕層への大増税

もちろんここまでの理屈は、富裕層大企業への課税強化で解決できる問題ではある。それが実現できるなら、庶民への大増税社会保障廃止必要なくなる。

でもそれが簡単でないのはみんな分かってるでしょ。

なので、ベーシックインカムまず富裕層への大増税を実現できてから話になる。その見込みがなくベーシックインカム実施しようとしてもろくな事態にならないのは上に述べたとおり。

個人的には、富裕層への大増税が実現できるなら、既存社会保障制度範囲内でも弱者救済を強化できるので、それでいいじゃないかとも思う。

なお、ベーシックインカムの財源として大量にお札を刷ればいいという人もいるかもしれないが、そういう人が同じ口でアベノミクスなどの異次元金融緩和批判してないよね?

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん