2023-03-26

退職時の競業忌避義務契約は基本ぶっちぎっていい

なぜなら、仮に裁判沙汰になったとしても、契約有効判断されるまでにはかなり高いハードルがあるからである

以下の要素を総合的に勘案し、裁判所が有効性を認めない限り基本的には無効である

一つ一つ詳しく見ていく。

営業秘密

営業秘密」とは不正競争防止法定義されている用語ひとつで、「秘密管理性(アクセスできる人が限定されていること)」「有用性(客観的に見て事業有用であること)」「非公知性(公然ではないこと)」の3要件を満たしているもののことを指す。

よく言われる「企業秘密(Confidential)」とは似て非なるもので、不正競争防止法保護されるのはこの営業秘密対象となっている。

職位はあまり関係なく、この営業秘密に関する業務従事していなかった(アクセスできない状態であった)場合有効性が否定されるケースが多い。

(たとえば財務担当役員として財務情報にはフルアクセスできていたが、営業秘密に関する情報アクセスができていなかった場合契約否定される傾向にある)

期間

近年では2年以上の契約期間は「職業選択の自由とのバランスを勘案すると長すぎるのでは?」と判断されているようである

有効性が肯定されるケースのほとんどが1年以内に集中している。

(そのため、実際の契約でも1年以内の契約期間が設定されているケースが大半であり、ここはあまり事例によって差がつかない部分だと思われる)

禁止行為指定

これはつまり禁止される行為範囲について、企業側が守りたい利益との整合性判断するということである

例えば、IT起業エンジニアとして勤めていたとして、単に「他のIT企業への転職起業含む)を禁ず」程度の指定であった場合有効性が否定されるケースが多い。

(これではエンジニア以外へのジョブチェンジまで禁止することになり、営業秘密を守りたいということと整合性が取れないし、そもそも職業選択の自由原則にも反することとなる)

代償措置

競業忌避義務契約を結ぶにあたり、本来もらえる退職金や一時金とは別に相応の対価があるかどうか?ということである

これは金銭的な対価に限らず、例えば独立支援などの制度的なサポートなども含まれる。

裁判所が最も重視していると思われる要素であり、特に代償措置が「全く」無い場合有効性を否定されるケースが多い。

(ただし、それを織り込んだ給与が設定されていた場合などはこの限りではない)

参考

https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference5.pdf

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