1年ほど前、平日の夜9時ごろにタクシーを利用した。去年の今頃、妹の家庭内暴力が問題になってとうとう警察沙汰になったので大学受験を控えていた私は勉強場所を求めて母の実家に避難することになった。
母の実家の最寄駅の前には一貫教育を謳った学校が鎮座しており、またその周辺にはゆったりとした住宅街が広がっている。母も生まれてから結婚するまでその土地にずっと住み続けて、駅前の学校に幼稚園から大学生の間までずっと通い続けていた。
さて、夜9時ごろに私は予備校から母実家の最寄り駅に到着した。祖母から「タクシーに乗って帰ってきてね」と連絡が着ていたこともあって、そのまま駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗った。
母の実家は駅から大体徒歩で10分程で着く場所にあり、駅までの道のほとんどが真っ直ぐなので案内がとても楽なのだが、その日はそうもいかなかった。というのも駅から最短距離で家にたどり着くには最後にそこそこ大きな階段を登らなければならず、その階段が危ないからと門の前の車道まで車を回らせて帰って来なさいとお達しが届いていたのだ。
車中ではそんな祖母からの心配のメッセージが届いていたこともあり、慣れない道を私なりに一生懸命案内していた。
「あ、あの〜。階段の上にある家の前まで行きたいのでその先の道をぐるっと回って頂きたいのですが……」
「そうです!この先の住宅街の道に入ってもらって…」
そんな私の拙い案内でもドライバーさんは一生懸命に理解しようと努めて下さった。
しかし、住宅街の道に入った瞬間、ドライバーさんの方から私に話しかけてきたのである。
『なんだ〜。この道行くなら「〇〇先生の家を曲がって〜」って言えばよかったのに』
〇〇先生とは上に書いた母の通っていた学校の創立者の先生の名前だ。
『〇〇先生って知ってる』
『あそこ〇〇先生のお家だから。今度からそういえば分かりやすいと思うよ』
『まあ△△学園通ってないと分からないよね』
そんなことを言われながら料金を支払い家の門を開いた。
私の案内で理解できたならわざわざ訂正するようなこと言わなくて良くない??ていうか人ん家勝手に目標にするなよ〜〜「あの赤い屋根の家を…」とかなら分かるけど、何の変哲もないただの民家を目印にするの良くないでしょ〜〜。。。。
今は亡き△△大学で働いてた祖父の顔が目に浮かぶ。祖父や母がどれだけその学校や街で生活を営んでいたとしても、私はタクシーのドライバーさんに嫌味言われちゃうくらいこの町のこと何にも知らないんだな。。
門から玄関までの道をとぼとぼと歩く。当時受験生だった私にとってエスカレーター式に受験を終わらせ、なおかつ自動的にそこそこな学歴を手に入れた母は羨望の対象だったので、「△△学園とは縁がない」と断言されてしまったのも切なかった。その時の気持ちも相まってこの出来事をよく覚えている。
高校生の時はよくタクシーを利用していたのですが、今回書いたようなドライバーさんにはほとんど当たったことが無かったので尚更よく覚えていました。舐められたのかどうかは正直分かりませんが余計な一言ではあったのではないでしょうか。ていうかナビ入れてくれ!!〇〇先生の家知ってるなら案内させないでくれ!笑 短距離でなおかつ(説明が)複雑な道を走ってくれたドライバーさんには感謝してもしきれません。が、ちょっと気になっちゃいましたね。眞子さんがタクシーで移動しているという報道を見て、なんか話しかけられたりしてるのかな…と考えたことから思い出しました。