1996年9月に購入して2021年4月まで頑張ってくれた働き者だ。
特にここ1年ほどは、このオーブンレンジで毎朝トーストを焼き、昼はパスタを茹で、夜は冷凍ご飯を温めた。
無理をさせなければもう少し動いたのだろうが、魔がさしたと言おうか。
あと1分少々で茹で上がるとなった時、ぶうん、と聞きなれない音を立ててターンテーブルの回転が止まり、
庫内の灯りが落ちた。
ミートソーススパゲティを食べ終わって、コンセントを何度も抜き差しした。
うんともすんともいわない。
あ、終わった、と思った。
どうしよう。
仕方がない。
新しいのを買おう。ネットを調べた。
え、そうなの?うちのオーブンレンジ、ヒーターなんて出てないよ。
25年ぶりの家電買い替えは浦島太郎状態だが、なんとか条件を決めた。
購入条件を持って、街の電気屋に行った。一昨年の増税直前、冷蔵庫が壊れた時に世話になった店だ。
店のお兄さんに「これくらいのサイズで、こう扉を開けて」と身振り手振りを入れて説明した。
すると「あの、ひょっとして今お使いのは扉が横開きですか」と言われた。
はい、そうですが?
「今の主流は扉が前開きなんです。冷蔵庫の上に置くとなると、横開きの方がいいですね」
なるほど。前開きだと、庫内のものを取り出すのに横から手を出さないと届かない。途中で落としそうだ。
「そうなるとこれか、これになります」
選択肢がぐっと狭まった。
実物は取り寄せだというので、カタログを見せてもらう。
ターンテーブルでもフラットタイプでもどっちでもいいけど、付属品が少ないのが気になった。
今まで使っていたオーブンレンジには、ガラスのターンテーブルとオーブン用の丸皿、角皿が付いていたのに。
お兄さんは言う。
「メーカーのコスト削減と、あと皆さん結局お使いにならないので」
ああ、そういうこと。コスト削減ね。
「10万円超えるようなオーブンレンジを買われても、後で伺うと、温めにしか使ってないわって方も多いですし」
高機能でも使いきれないしね。
「お客様のように目一杯使ってくださればレンジも本望なんでしょうけど」
そうかなあ。単に買い換える金銭的余裕がなかっただけだ。
あと、そもそも壊れなかったから。うちのアパート、電気の契約は20Aだし。
シャープの新製品にちょうどいいのがあった。フラットタイプの横開きで冷蔵庫の上に置ける。
庫内容量は16L、前に使っていたのより少し小さめだけど、どうにかなるだろう。
約25年、健やかなる時も病める時もずっとそばにあった、日立のMRO-N55ともお別れだ。
改めて発売当時のプレスリリースを見たら、小家族用の高機能機だった。
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/9512/1221.html
天板が2種類ついていたのは、ロールケーキも焼けるというのが売り文句だったからか。
どうりで何でもできたわけだ。
築40年以上の古いアパートで、ずっと非正規雇用でいつも不安だった。
どんなに疲れていても、家に帰りさえすれば、オーブンレンジのおかげで温かいごはんを食べることができた。
今までほんとにありがとう。
よくがんばったなぁ
お別れする前にWピースのいえーい!と泣いてお葬式状態のいえいえいえー!の写真撮ろうぜ