2020-09-16

1つ下の新入社員に何から何までフォローされ続けた話

私の勤務先では四半期毎に社内報が作られており、今日私の手許にも社内報2020年夏号が届いた

そこには「2019年度優秀社員表彰」という記事掲載されており、1年だけ同じ部署で勤務した彼が表彰状を手にしていた

私は入社してからかなり仕事の覚えが悪い駄目社員として周囲から認識されていた

どの部署でも入社1~2年目は駆け出しなので、仕事があまり出来ないのは仕方がない ただ、私は若手社員に求められる社内行事飲み会段取りも大の苦手としていた

部内での飲み会の出欠確認・店の手配・支払などとにかく私は何から何まで手際が悪かった

部署からは店についてああしろこうしろと色々な要望が出ていたが、どうせ対応は出来ないので全て無視 出欠確認もいつも漏れがあり、狭い席に無理やり座ってもらったこともあった

増田ー、食べ物いからすぐに頼んでよ」「わかりました、すいませんほっけを人数分下さい」「なんでほっけを人数分頼むんだよ(呆れ)、店員さん2つでいいです」

というようなやり取りはほぼ毎回繰り広げられていた

そして、私が2年目を迎えた4月、我が部署新入社員の戸折君が配属されてきた

戸折君は仕事の覚えも早く、雑用完璧に熟した そして私が苦手としていた店の手配ではパーフェクトな対応を見せた

これまで私が無視していた「別料金払うから良い日本酒呑ませて」「腰が痛いから座敷じゃなくて掘りごたつで」「男性陣の足が臭いから靴を脱がない椅子のところがいい」

などといった各部員の要望を全て充たし、かつ予算もお手頃な店を次から次へと発掘してくるのである

増田ときは毎回同じ店だったけど戸折君はいい店見つけるセンスあるね」など女性陣が本当に喜んでいたのをよく覚えている

事件が起きたのはその年の忘年会のあとだった

忘年会の手筈も全て戸折君に任せ無事終了 二次会も終わり、最後に私と戸折君の二人で呑んでいるとき、「僕は増田さんのことが好きなんですよ」と急に告白された

「好きというのは社会人として?」「いえ、一個人としてです」

まりの予想外の展開に私は雷に打たれたように思い切り固まってしまった

「そうですよね、増田さんはこっち側の人じゃないですもんね 分かってましたけど」

そのようなことがあり、年明け出社時はとても気まずかったのだが、戸折君はこれまでと何も変わらない態度で仕事をしていた

その後少しして、時期外れの異動で戸折君は他の支社へ移っていった 新入社員最初部署に4~5年在籍するのが通常なので極めて異例の異動であった

これは私の想像であるが、カミングアウトしたあとで同じ部署で働くのは嫌だろうと戸折君が私に配慮し、上司なり人事なりへ掛け合った結果なのだろうと思う

部署内でも異動時には「なんでこのタイミングで」という話になったが、理由誰も知らないようなので弊社なりにLGBTへの最低限の配慮が出来ているということだろうか

戸折君が居なくなったあと、私はまた部内で一番の下っ端へと戻ったわけだが、飲み会の店の手配は戸折君が残してくれたマニュアルを元にまともに熟せるようになった

元々私の部内での評価はかなり低く若手の中では最低レベルに近かったが、色々な雑務が出来るようになり仕事もどうにかこなせるようになったことで評価も中の下くらいまで上がった

本来こちらが指導すべき新入社員フォローされっ放しというのは情けなかったが、彼のおかげでそれなりに仕事が出来るようになったのも事実

私は社内報掲載された彼の社員を見ながら改めてこう思った 「ゲイに身を助けられたということか…」

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