弊社は産業機械を製造している会社なのだが、最近製品の品質がまずいことになってる。
製品をお客さんの工場に納品して、お客さんのテスト稼働中に重大な不具合が出る。
ほぼ全部の試験を1からやり直しになったとかのうわさも漏れ聞く。
経営層はかなり危機感を持っているようで、実験計画法の教育を始めた。
効率的に「実験」する方法であって、実験結果を設計へフィードバックするためには有効だから、
今と同じ量の実験で、効率的に問題を見つける=同じ開発期間で品質問題の出ない製品ができる。
・・・はず。
そもそも、どんな会社どんな商品であっても、製品を設計して、試験をして、問題があったら設計を修正をして…というサイクルを繰り返して
試験の項目がたくさん増えて、発売日に全然間に合わないから実験計画法を使いましょう。というのは理解できる。
でも、試験項目が増えたのは、お客さんの工場から製品送り返されて、ちゃんと動くまで納品するなと怒られた後なのだ。
製品開発の担当者はなんで試験をしないのか。当然それにも理由がある。
ペーペー社員であっても製品開発の仕事の流れは何とか理解できる。おおまかにこんな順番である。
4.組み立てる
5.試験をする
6.完成
担当者はこんなもんですかね。みたいな感じで、試験で問題があっても大丈夫なスケジュールを立てる。
問題は管理職である。管理職がスケジュールを確認する会議に出たときに、修正が入る。期間を短くする方に。
「うーん自分が担当だったらこの三倍は時間がないと無理だな~」
この時点ですごくやな予感がする。
そのあとは設計が始まって、案の定スケジュール通りに終わらない。期間が短すぎるんだ。
管理職:「そうじゃない、元のスケジュール通りに進めるにはどこを縮めるか考えるんだ!」
むりだろそれ。
当然ながら、試験では「なにも問題は起こらなかった」という結果でないと間に合わない。
あるいはモジュール毎に行う試験は省略する。全体でうまく動けばいいよね?
結果は一番最初に書いた通り。
何も問題なく完成したはずの装置は、出荷前の最終試験や、お客さんの工場でやる受け入れ試験
だけしか通っていないので、お客さんが用途に合わせて使おうとすると「なんか変」とかいう話になる。
ちなみに、この管理職が問題なのだとは思うのだけど、別の製品の会議で見る、ほかの管理職でも
同じようなことを言ってるので、会社の文化なのかもしれない。あるいはそういうことばかり言ってる人が
というわけで、皆さんも根拠のないスケジュールを立てちゃだめだぞ。
えっ?お前はどうしてるんだって?
ペーペー社員は最初の会議で「どう頑張ろうとこのスケジュールでは時間が足りないので時間をください」といったので
担当をはずされたのだ。