有名人へのネット上での誹謗中傷問題が取り上げられていますが、その中でよく出てくるのが「有名税」です。
税の取り立てが適正かどうかはひとまず置いておきますが、そもそも何に対する税なのか?
そうですね、知名度を利益につなげていることに対する副作用のことを一般的に有名税と呼んでいるのだと思います。
しかし知名度を利益につなげることそのものは何らおかしなことではないことです。なのになぜ税が発生するのか。
一番言われがちなのが嫉妬とかそういうもので、それは確かにその通りではあると思いますが、全部ではないと思います。
一番大きいのは何よりも有名人は特権階級だからだということでしょう。
いやいや特権なんか何もないよと言われるかもしれませんが、あります。というか、ありました。
インターネット以前の時代では、情報発信はメディアからの一方通行でした。
つまり、メディアで発言できる有名人だけが意見を発信できる特権を持っていたのです。
有名人は一方的かつ当たり前のように特権を行使し、一般人は何を言われてもそれを黙って聞くしかない。
インターネットやSNSが発展した現在では、この旧来からの有名人の特権は比較的小さなものになっています。(ただしゼロではありません。)
しかし、長年蓄積された「特権行使」に対する鬱積は簡単になくなるものではありません。
SNS時代に叩かれがちな有名人は、特権的権力行使を当然だと思っている世代の人が多いですね。
そしてもちろん、SNS時代にはSNS時代の特権行使というものがあります。
例えばツイッターではフォロワーという数字がありますが、これは影響力に直結します。
フォロワーの多さがメディア支配力になってくるわけです。フォロワーが多ければ多いほど、その権力を行使できます。
そんな権力はないと言う人もいるでしょうが、それは無意識化の権力行使にすぎません。
有名人の政治的発言も最近話題でしたが、もし一般人と同じように匿名であっても同じ影響力だったでしょうか?
有名人は高い影響力という権力を間違いなく持っています。ここを否定するのは真摯ではありません。
このいわゆる有名税は知名度(=メディア権力)にかかってくるもので収入にかかってくるものではないのが有名人にとっては辛いものでしょうが、
そもそも知名度を収入につなげられないのは当人のマネジメントの問題なので権力を行使される側には関係のないことです。
なぜ自分たちが逃げないといけないのかと言ってる有名人もいますが、一般人と同じように匿名でアカウントを作っていれば誰も何も言わないでしょう。
一般人と異なる権力行使を自分の意思で行っている。これがまぎれもない事実なのです。
ただし、それはそれとして相手が有名人だろうが一般人だろうが違法行為は違法行為です。
違法行為はやめましょう。それだけの話です。
有名税という概念が、相手が有名人なら許されるという勘違いを生んでいるならそれは間違いというのも大事なことです。