近所なので、時間に余裕があれば様子を見に訪ねたりしてる。
身の回りのことは一応一人で回せているようなので、介護というような手助けは今のところ必要ない。
買おうかと声をかけても、これで足りているという。
とは言え物忘れが段々と強くなっている感はあり、なにか新しい趣味でもあった方がいいのではないかと思う。
特に興味も使いこなそうというような、積極的な気持ちは持ち合わせていないのかと思っていた。
それがたまたま携帯なんかの話になったので、PCやスマホに興味がないか改めて訊いてみたら、
意外や意外、「覚えたら楽しいかもしれないね」とわりと前向きな返答。
私達夫婦の見解とは異なっていたので、とりあえず夫に知らせることにした。
「お義母さん、PCやスマホに興味ある?って聞いてみたら、『覚えたら楽しいかもしれないね』っていってたんだけど」
「PC買う余裕あるの?スマホ?携帯乗り換えたばかりじゃん。通信環境も必要だし、定額の出費が必要に…」
「別に、だから即PCやスマホ買おうっていってるんじゃない。ただ、そうかもしれないね、って言ってくれればいいの!!」
やってしまった。
ガチギレまでしたつもりはないが、夫の言葉を遮ってこんな言い方することは、めったにしない。
よく「女の愚痴には解決策じゃなくて、共感」とかまとめられてるけど、これもそうやってまとめられちゃうのかな。
夫に何か新しい話や提案をすると、かなりの割合で否定・反対してくるのだ。
いっちゃあなんだけど、それくらいは私だって想像した時点で想定してるんですよ。
かつ、あなたが即座にそういう反応を返してくるだろうことも。
でも大体は予想してるから、またかよ、仕方ねーなーっつって流してるわけですよ。
でも、なんかこの話にはいつも通りにできなかった。
正直、義母はスマホとかPCみたいな新しい物にあまり興味がなさそうって、勝手に夫婦で話してたことが何度かあった。
でもそれはこちらの想像で、別に義母に確かめたことではなかった。
ただ、義母本人が自分から興味のありそうな言動をしなったから、っていう理由だけ。
でも、本気でやりたいのか確かめたわけではないし、それこそ義母も「夢の話」くらいの軽さで応じたのかもしれない。
でも義母に新しいことにチャレンジしたいという気持ちがあるなら喜ばしいことだし、
自分達だけで勝手に「興味なんかないだろ」って決め込んでた認識は訂正したいな、と思って話題にあげた。
そしたら、案の定、いつもどうり。
こういうとこ、亡くなった義父にそっくりだなあ。
べつに、なんでもかんでも共感しろっつってんじゃないんですよ。
ただ、現実的な対応策ばっかりじゃなくて、たまには妄想の話に乗っかれませんか?
実現の可否はさておき、「お義母さんがPC使えるようになったらすごいよねー」「スマホのがまだ簡単かな?」みたいな。
ふわーっとした仮定の話で楽しんだりするの。
そういうの、結局は話してるうちに「実現可能か、否か」って話になってきちゃうんだけど。
でもさー、そこにいたるまでの夢の時間は楽しくない?
その夢の中には、今まで想定してなかったPCやスマホを使い始める義母がいるわけですよ。
「もしかしたら、できるかもしれない!」って考えるのは楽しくない?
考えてるうちに、難しいけどチャレンジしてみようか!ってなる可能性もなくない?
実際そういう流れになることが少ないことも知ってるよ。
でも鼻から否定ばっかしてたら、わずかな可能性もつぶしちゃわない?
私の剣幕に押されたのか、夫がその後言葉を続けることはなかった。
でも私が言いたかったのは、「女の話には共感してりゃいーんだよ」ってことでは決してない。
この言い方じゃ、伝わるわけないけど。
上手いこと伝えられる自信はない。