もうすぐ、53歳になる。
よく人から「10歳若く見える」と言われるけど、中身はどんどん古びている。
一番変わったなと思うのは、サービス精神を失ったことだと思う。
会話が得意だった。知らない人ともすぐに仲良くなれた。
最近は、会話が苦手。雑談が苦手。逆に沈黙をあまり気にしなくなった。
わずかな成功で慢心し、たくさんの挫折で心が硬く冷えて折れてしまった。
オタクしゃべりをする自分がかっこ悪くて、そういうのを控えたり。
転職を繰り返して、好きな人達と、ふつーの会社の人達と波長が合わなくて苦労したり。
最近、仕事の都合で、昔の業界の人達と話す機会が何度かあって、
気がつくとビックリするくらいタガが外れてしゃべりまくって、相手が引いていたり。
昔、親切でサービス精神を振る舞っていたのは、自分を好きになって欲しかったからだと思う。
歳をとって、ちょっと偉くなったり、ちょっと成功したりすると、そういう必要を感じなくなって人にサービスしなくなったのかもしれない。
常に若く見られるので、転職するたびに、横柄な態度を取られたり、仕事のやり方がふつーと違うので、摩擦が起きたりする。
あと、最近何度か言われたけど、どうも気がつかぬうちに「俺、スゲーぞ」感を出しているらしい。
それについては、若くて実績のない頃からそういう部分があったと思うのだけど、いろんな実績を作ってきてそれが自信になって、でも回りがそれを知らなくて、余計に違和感が生じているのかも。
そもそも、説明が苦手。趣味はいっぱい喋るくせに、仕事は直感で判断して、相手が理解できないと、相手が上司だろうと「なんで、わかんねーんだ」とゴリ押ししちゃう。それがよくない。
しかし、自分はITとかPCとか詳しいと思っている相手に、「いや、僕はPC黎明期から数百本以上のアプリのレビューをしてきましたから」とか説明するのも面倒くさい。というか、それが根拠になるかもわからない。
最近、痛感するのは、ビジネスで成功する人は、小さな成功で舞い上がらない。お山の大将にならない。
成功しても、部下に対してまで腰が低い。それでいて、リーダーとしてしっかり道筋を示すし、面倒くさがらず、仕事に妥協しない。
誰だって細かいミスはする。判断を間違える。成功もするけど失敗もする。それは若くても偉くなって歳をとっても同じ。
でも、人生で成功するためには、継続して努力し、ときにはプライドを押さえて我慢することが必要なんだと、成功している(しつつある)人を見て思う。
人間はいろんなことを経験すると賢くなるけど、同時に弱くもなる。
年をとると外見は若くて元気に見えても、エネルギーは確実に減って頑張りがきかなくなる。
そんな中で頑張るには、自分がやらなきゃという責任感と、あと、「これは自分の仕事だ」と強烈に自覚できること。
仕事ってのは、やらされる仕事じゃなくて、自分がやらなきゃ、やりぬかなきゃ、と思える仕事じゃないと。
いまの仕事も、ユニークでやりがいのある仕事だとは思う。職場の環境にも恵まれている。
でも、これが本当に自分がやりたい、やるべき仕事なのかはわからない。
我ながら、いろいろできて、いろいろ経験したが故に、天職を見つけられずにいる。
おっさんになっても悩みは尽きない。というか、悩みは増えるばかり。
まあ、結局は承認欲求を満たしたいだけなんだと思うけど、そこが以外と泥沼。