僕の地元は埼玉の入間という街である。入間は、まあ言ってしまえば埼玉の田舎である。だが近年の都市開発により大きなアウトレットモールやショッピングモールができ、急行に乗ってしまえば1時間もかからず池袋まで行くことが出来るという、いわゆる郊外都市だ。僕はそんな入間という街で生まれ育った。
高校に進学する際、地元近辺の公立高校に行くか、東京の私立高校に行くか二つの選択肢があった。迷わず僕は東京の私立を選択した。理由は簡単。地元が嫌いだったからである。地方都市独特の……と言えば「どこの街だってそうだよ」と批判が聞こえてきそうだが、同じような音楽や映画を好み、同じような服装の人がたくさんいて、土日は車でショッピングモールに向かい、フードコートでチェーン店のご飯を食べる。そういったテンプレ化した入間の住民になりたくなかったからだ。「全てこの街で完結する」という閉鎖されている雰囲気が大嫌いであった。このタイミングでこの街を出ないと人生つまらなくなる! と考えていた中学3年生。うん、まあとても拗らせていたんだ。
新宿の近くの高校に進学した。その高校は大学附属高校ということもあり、様々な地域から生徒が集まっていた。どんな街に住んでいるのか、どんな友達が周りにいるのか……。中学生の頃同級生とそんな会話をするのは一切なかったので、とても新鮮だったことを覚えている。
高校進学後は、自然に中学生時代の友達と遊ばなくなっていった。その頃はFacebookなんてなかったので、中学生時代の友達の近況を知る術はなかった。たまに、みんな何やってんだろうなと考えることはあっても、こちらから電話をして遊びに行こうなんてことはなかった。遊びに誘われても何かと理由をつけて断っていた。
高校3年生になって、また悩んだ。このままで良いのかと。
大学附属の高校ということもあり、学校に通ってさえいえればエスカレーター式で大学に進学できる。高校のクラスメイトと喋ったり遊んだりしているととても楽しい。しかし、大学に行っても4年間また同じ友達と一緒に学び、遊ぶなんて考えられなかった。バイト先の先輩に一般入試でその大学を受けた人がいて、附属の人は附属で固まっていてすごく話しかけずらいと言っていたのも背中を押した。そして僕は別の大学に進学した。また全然知らない、初めましての友達が増えていった。
中学・高校の頃の友達とは、卒業以来誰とも会っていない。自ら選択したことに誤りはないと信じていたからである。成人式も行かなかった。
だが大人になってふと思った。僕には長い時間を共にした友達がいないということを。
少し寂しくなって、Facebookを開いて同級生の名前を検索し、旧友たちのタイムラインを見てみた。
近況をアップしている写真にコメントやいいね! を押している人は、自分が知っている名前ばかりで大変驚愕し、さっとFacebookを閉じた。
地元に残っていたら残っていたで、 だが大人になってふと思った。僕には高校以降に新しく増えた友達がいないということを。 少し寂しくなって、Facebookを開いて都内に進学していっ...