2023-03-08

総務省文書について雑感

役人です。複数の本省勤務経験があります

総務省から、【政治的公平に関する文書の公開について】(https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000503.html)として、文書が公開されています高市大臣がやめるのやめないので注目を集めているアレです。

一つ一つ分析していけば面白そうですが時間もないので雑に感想を書きます

そもそも行政文書

公文書管理法上の行政文書に該当するか、個人的には微妙に思っていて、総務省がこれほど素早く行政文書と認めたのは不思議です。

公文書管理法ではこう規定されています

この法律において「行政文書」とは、行政機関職員職務作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子方式磁気方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関職員組織的に用いるものとして、当該行政機関保有しているものをいう。

ざっくり、①役人が②職務作成し③組織的に用いるもの行政文書とされています。本件文書は条文上は行政文書のように思えますが、実運用としては偉い人との会話結果はグレーゾーンと扱われていることが多いです。

何故かというと、例えば一係員が係長から貰った意見について他の係員と共有した文書(例えばグループウェアで「係長は…て言ってたよ!作業よろしくね!」とか)を行政文書とし始めるとキリがなくなるからですね。課長補佐なら?課長補佐なら?局長なら?大臣なら?と。

国会議員への説明結果も同様で、例えば電話秘書から『あの資料どこにありましたっけ?』と聞かれ、ホームページ上の場所説明したものまで記録に残したりしないからです。ただ、最近運用として、国会議員本人への説明結果は行政文書としている役所が多いと思います

(ただ、それでも国会での質問のための事前のやりとり(いわゆる『勉レク』『問取り』)を行政文書としている役所ほとんどないと思います。)

本件の場合は、少なくとも当時、この文書作成者は行政文書認識していなかった可能性が高いです。(行政文書認識していたら、『ヤクザ』なんて表現普通は使いません。ただ、本件資料作成したと思われる旧郵政出身者が旧自治の磯崎補佐官を悪く言いたいのかもしれませんが。)

したがって、本件資料行政文書ではないと言い張ることもできたところ、あっさり行政文書と認めたのは総務省的に何か理由があるのだと思いますメモ存在ではなく、行政文書として認めたところに驚きがあります。)。

公表した目的

「心ある総務官僚小西議員リークしたんだ!」「総務官僚情報公開大事だと思ってるんだ!」などとは全く思いません。次のような理由想像できますが闇ですね。

・現職総務省幹部綱引き。旧自治VS旧郵政

総務省OB綱引き。旧自治(磯崎補佐官)vs旧郵政山田秘書官)

自民党内の反安倍

総務省財務省とならんで、リークで足の引っ張り合いをする組織イメージがあります

内容

総務省が飲む飲まないに関わらず、解釈にかかる議論についてはこんなもんかと思います

与野党わず、現行の解釈から一歩進んだ表現を答弁で求められることは多いです。その場合、実際の国会審議の前に、役所とすり合わせを行うことは珍しくありません。

議員】○○と質問した場合、✕✕と答えられないか

役所】その場合、△△までなら答弁可能だがそれで差し支えいか

議員】わかった、それでは質問するからそのラインでお願いする

・くどいように「これまでの解釈の枠を出ておらず、それを補足するもの」と出てくるのは磯崎議員役人出身であることをよく示しています

・「激昂し」などの表現あるあるですね。ただ、公開前提となり使われなくなってきたような気がします。

・「首が飛ぶ」などの表現もままありますね。担当者の方はお疲れ様でした。最近は減ったとは思うのですが。野党議員から「悔しければ選挙に勝ってみろ」と言われた同僚もいますが、圧力いたことはどちらにせよやめていただきたいものですね。

大臣は知っていたか

おそらくこの事前のやりとりは知らされておらず、最後に出てくる大臣への報告で初めて知ったと思います

磯崎補佐官と揉めた時点で大臣に報告してたら、必ずそれも説明結果として関係者で共有しているはずです。

内容はすべて真実

分かりません。

事前のやりとりはあったのだろうと思います。(ただ、総務省側の希望解釈について答弁したくない)が前に出すぎていて、報告書にあるべき客観性が欠けており、あまりできのいいものではないと思います。)

しかし、総理意見大臣意見などは錦の御旗にするために「これもう大臣了だから」などと嘘になはない範囲記載することはありうるため、大臣真意齟齬がある可能性は十分にあり得ます。(例えば『慎重にね』⇒(慎重に検討して、実施しない/慎重にやればOKと言われた))

通常、こういった文書決裁を取らないため、基本的には文書作成者の主観がかなり入ります

その他

ちなみに単なるメモではなく行政文書としたら、小西議員リークした役人処分対象になりそうですけど、どうするんでしょう。

公的目的からOK、とはなかなかなりにくいと思うんですが(それをアリとすると何でも持ち出し放題になる。いろんな立場の人がいるしね)。

  • 相当前に辞めた人? 行政機関が紙やデータで共有したら何でも行政文書って習うはずでしょ

    • いや、実運用の話よ

      • いや、そりゃ運用上は無いってしらばっくれたり即廃棄することはあるけどそういう話じゃないでしょ 暴露されたモンがどう見ても部内の連絡・共有用なんだから「個人のメモです」と...

  • またネトウヨが嘘松してんのか どうせ官公庁で清掃員でもしてたんだろ

  • この文書あるわー →はえー もう公開されてるし全文出すやで →!!!?!?!!?!?! なんだけど、これ大丈夫なん?

    • だから元々何らかの思惑に基づいたリークの線が強いってことよね

  • 高市は現職の大臣だろ。在職中仕事できなかったんやろな。

  • なんか複雑そうね この件について断言する人は信用しちゃ駄目そうだなってことはわかった

  • 絶対に、この問題をなかったことにしてやるし、できる、という確固たる決意と自信に圧倒された

  • 兎に角メディアに圧力を加えた自民党は悪くない 寧ろそれを追求する方が悪い と言いたいのは分かりました 私はあなたの様な人を見る度に、自民党は支持者も含めて腐りきっているな...

  • https://anond.hatelabo.jp/20230308125909 も読んだ上で感想するとすれば 国会議員とのやり取りを記録するのは当然の防衛活動だろ 自民党は、うまいこと総務省に放送法の解釈変更をさせたら、...

    • 作るのは当然でもそれを認めるのは当然じゃないんだよなぁ

      • 作ったと認められないような文書作るようなバカが日本の省庁ってことかい 国交省の事務所が頼まれてこっそり簿外工事をやったり、自賠責保険算出機構が書類ナイナイしながら勝手な...

        • 後半わからんけど前半だけ 基本的に行政職員が業務で作成したものは「行政文書」になる 清書前のメモとか、自分の為のtodoリストとかも、定義上は行政文書になるんだけど、そんなも...

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