2021-09-24

はじめて風俗に行った話

スペック



9月ともいうのに真夏のような日差しが照り付ける日だった

私はこの日、その場所に向かうために徒歩を選択したこととても後悔していた

流れゆく汗は私の視界を奪い、それを抑えるためにコンビニポケットティッシュを買ったほどだ

それでも時間には少し早く到着してしまったため、一度ゲームセンターに赴き、「機動戦士ガンダムエクストリームバーサス」をプレイする

……メイン横特射特射後BD格闘CSメイン、そんな単純コンボさえもう当たらないこのゲームを私がいまだにやる意味があるのだろうか、そんなことを考えながらいつもプレイする

せっかくだから追加された特格のアシストも使ったり、もうちょっと下サブのフィンファンネルバリアをうまく扱えればよいのだが、私の脳では、もはや無理だ

2プレイほど終わらせた後、急いでラブホに向かう

約束時間を経過しようとしているためだ

この向かっている間にも燦燦と照り付ける太陽がにくましい

ラブホに入り、受付で部屋を用意してもらう

受付のお姉さんが安い部屋と高い部屋のどちらにするかと訊いてくる

200円ほどしか違いがない、それなら別に高いほうを選んでもよいだろう

適当会計を済ませ、部屋の鍵とレディース用のポイントカードを貰って部屋に向かい、お店へ電話する

その女性は、すぐ向かうそうだ

女性が到着するまでの20分ほど、私はいろいろと考えた

このままの恰好でお会いしてもよいだろうか

そもそも今日については男装をするべきではなかっただろうか

この二の腕のムチムチ感はいつになったら消えるのだろうか、はたまた消えるようなことはあるのだろうか

部屋にファミマ入店音が鳴る、どうやら女性が到着されたようだ

私は部屋の鍵を外し、扉を開ける

こんにちは

第一声はそんなものだったと思う

その女性は、ひどく驚いた顔をして言う

「え、女性の方ですよね……?」

この最初の反応も、私はもう慣れている

この声のほうが理解いただけますか?」

あえて作った、輪るピングドラム渡瀬眞悧のようなテイストの声で返す

その方が、シビレるだろう?

「あ、なるほど……」と言ったような顔をし、そのままその女性は部屋に入ってくる

入室後から、まず決済を行い、そこから女性はお店へ連絡する

そして、他愛のない会話が始まる

私が昔ニューハーフヘルスの嬢だったことも話したし、私の肌がきれいと褒められたり

あるいは、女性洗顔方法をこだわっている話をしたと思う

私は女性と話すたびに、いろいろな美容の話が聞けるのが好きだ

少なくとも私は能動的にそのような情報を取り入れに行ったりはしないが、他人からそういう情報を取り入れて、自分の中でアッセンブルしていく……

そういったインプットからアウトプットまでの一連の行為が好きだ

今日、どうなさいます?こんな風にしゃべって終わりにします?」

女性がそう尋ねる

私は正直、こんな風にダベって終わりでもよかった

でも、「せっかくだから」と魔が差し

私は、弱い

せっかくだから、お風呂入れますね」

はい

私はその辺はどうでもよかった

でも、大きく脚が伸ばせるお風呂というのはい

「それにしても本当に綺麗ですね」

この女性、いろいろと褒めてくれる

正直、照れる

「でも、二の腕とかもうプロレスラーみたいになってしまっていて、どうにかしようと、今ダイエットしているんですよ」

そんな話をすると、いろいろとダイエット美容知識を授けてくれた

ジムに週3通って、食生活も見直すこと

それがしんどいなら、「オートファジー(16時間断食ダイエット)」をすること

アトピー性皮膚炎がひどいなら、小麦のようなグルテン性の食べ物よりも、白米を食べること

どれもすべて、わかっている

わかっているけど、改めて指摘されると、そんなこともできていないんだなぁという気持ちになる

私は、弱い

一緒にお風呂に入る

さすがに二人並んで入るには狭いお風呂だったので、私が下で、女性が上になる

私は、純粋に、女性を抱きしめる

私が求めていたのは、純粋にはこれだけではあったのだから

きっと、寒かっただろう、なるべくお湯をかけてあげる

ひとしきり湯舟に浸かったあと、洗体に入る

洗体とは重要だ、その人の性感帯を簡単にチェックすることができるし、使用することになるであろう性器のものにケガなどがないかをチェックできるためだ

少なくとも私はそう教えられてきたし、彼女もまた、おそらくそれにならって洗体している

風呂から上がった後、そのままベッドに入る

女性は部屋の電気を消していく

一つずつ、その灯りを落とす照明たち

そのまま、私はその女性身体にすべてを委ねていった……

私は行為中、何度も女性に「これして大丈夫ですか?」「痛くないですか?」と確認していた

とうとう、それにその女性が笑い出した

私もそれにつられて笑ってしまったが、そのまま行為を続けていく

女性が達した後、こんなことを言われた

あなたは優しいから、人以上の気配りをしようとしてしまう、それがあなたのつらさの原因じゃないの?」

そう言われてハッとした

私は表面上でしか優しくないのだと思っていた

から、私の手のひらは焼けるように熱いのだと

そして、私は、やはり達することができなかった

今に始まったことじゃなくって、男性相手でも女性相手でも、達したことほとんどない

それについては諦めていた

私は、ハグさえあれば、ほんとうはそれでよかったのだ

終了の電話が鳴る

気の毒なように私を見る女性

でも、私は主目的を達成できたので、もはやそれについてはどうでもよかった

ラブホを一緒に出て、先ほどのダイエットの話の確認と、今晩の鬼退治アニメ特集の話をして、別れた

私はもう一度、この女性時間を買うことができるだろうか、そんなことを考えながら私は家路についた

私は俗にいうスケベの部類だと思う

主原因は父親にある、と私は思っている

朝起きてリビングに行けばテレビではAVが流れていたし、それを勝手に止めると父親が何を言うかがわからなかったため、そのままにして朝食を摂ることもしばしばだった

から父親と同じ巨乳女性性的趣向を持ったし、しかし一方で、ち〇この大きい、細マッチョ男性にも惹かれた

そして、父親母親も私を愛さなかった

私の妹は昔から文武両道を地で行くような女だった

おそらく、私が父方の祖父母に贔屓されていたからだと思う

そんな妹のことを、両親は厚く応援した

私に渡された昼食が、500円玉だけのこともあった

妹が旅行に行くといえば両親はついていき、私がペットとの留守番を行うだけの日もあった

父方の祖父母の元から離れて引っ越しをした後、それらは顕著になった

しかたらこのころからかもしれない、私が女性であればと強く思うようになったのは

破綻した夫婦関係も、もしかしたら私が父親とヤれば、なんとかなったかもしれないとさえ思った

はいつのころからか、他人を抱きしめ、抱きしめ返されないと心が疲れるようになってしまった

今、確信をもって言うとすれば、私は両親からそれをして欲しかったのだと考える

でも、私にはそんな両親はもうどこにもいない

私はこのハグ無償で受けられるようになるまで、きっと月一程度で今回のようなことを繰り返すのだろうと思う

私は、弱い

でも、誰かを傷つけるよりはマシなのだろうと思えればこそ、この選択を行うだろう

  • ハグだけで癒されることもあるよね あなたが求めるハグが得られることを祈ります

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