2020-07-11

なろう小説の変遷と現在トレンド

未だに「なろう小説流行りは異世界転生」なんて思ってるやつはいいかな?

そもそも16年間という長大ななろうの歴史において異世界転生が流行っていた時期なんて半分くらいしかない。

現在流行は、追放系。

本当はすごい力や才能を持っている主人公が周囲に認められずに、解雇されたり裏切られたり迫害されたりして、その状態から成りあがるというテンプレだ。

異世界転生じゃなくて、最初から純正異世界まれ主人公がそういう目にあう。

どうして今、こういう流行りになっているのか。少し長いけど、サイトの初めから歴史を追ってみようと思う。

小説家になろう」において最初にやってきた流行はVRMMOだった。そう、異世界転生じゃないんだ。

この時期は、なろうに限らずネット小説界全体で、このテーマ流行っていた。SAOとか。(元はネット小説だったって知ってる?)

なろうでは、ゲームの中と思ってたら本当の異世界だった、みたいなパターンも多かったように思う。

最近のVRMMOは凄すぎだろ」とか、好きだった。

異世界転生の種は、二次創作界隈からやってきた。

にちゃんねるSSスレなどで、エヴァひぐらしなのはFateなどを経由して育てられゼロ魔によって爆発した二次創作手法の諸々。

それが、なろうのグループサイトである二次創作専門投稿サイト「にじファン」を通ってなろうに流入した。

特にゼロ魔SSの人気と書きやすさが凄まじく、そのタイミングでの「にじファン」の閉鎖があって、一次創作ゼロ魔SS手法が完全に浸食

この時、なろうがもともと有していたVRMMOブームノウハウと合体して、ゲーム異世界へのチート付き転生というテンプレ爆誕してしまった。

これが驚くほど書きやすさ・読みやすさ・とっつきやすさがあり、ランキング異世界転移一色になった。

最初はまだ転移の方が優勢だったのだが、より書きやすいのか、あとから転生が多くなる。

なろうの作家たちは、あまりに書きやすテンプレに沿った話づくりと、捨てられない創作者としてのプライドとの板挟みにあい、結果、能力面などで一点突破オリジナリティを追い求めるわりと修羅の国になった。

なろう認識異世界転生で止まっている人は、ここから先は知らないかもしれない。

実は小説家になろうでは、余りにもランキング異世界転移/転生が独占している状態が続いたため、これらの要素を持つ小説が別ランキング隔離されることになった。

(ちょうど異世界転生を批判するエッセイとかが量産されていた時期だった。個人的にはああい方法での主張はダサいと思うが。)

異世界転移/転生はサイトの見やす位置に表示されることがなくなり、作者たちは新たなブームを探った。

その結果見出されたのが、ハイファンジーとローファンジー

小説家になろう内の定義では、最初から最後まで話が異世界の中だけで完結するのがハイファンジー現実モデル世界でのファンジーや、現実異世界を行き来するものがローファンジーとなっている。

一見相反するように見えるこれらのジャンルだが、ほぼ同時に、ほぼ似たような形で流行ることとなる。つまり異世界転移/転生の代替としての流行だ。

たとえば一般的異世界転生のテンプレにおいて、転生するところを削ったらそのままハイファンジーになり、ランキングに乗る。

また、現実世界から異世界転移する部分だけを、逆に現実世界が突然異世界化してしまうような導入に変えれば、ローファンジーとなってランキングに乗る。

しばらくは従来のテンプレそのままみたいなのが流行っていたが、面白いことにこれらのジャンルには先住民がいて、昔から綺麗な恋愛関係などに主眼をおいた小説流行っていた。

それらと従来テンプレが合体し、ハーレムではない純愛をメインとした、でも結局チート転生風な感じの、新たなテンプレ流行るようになった。

そして、今に至る。なんでここへきて追放系なんだろうね。いちおう異世界転移の頃から萌芽はあった。盾の勇者とかまさに追放系だし。

どうも、前述の純愛チート転生風not転生ハイ(ロー)ファンジーの、各要素の食い合わせが意外と悪く、どこかでガタが来たんだと思う。

主人公がそんなに強くて魅力的だと一人のヒロインとの純愛は書きにくい感じなのかな。

ただ、異世界転生の頃に流行っていたようなチートハーレムは、あれはあれでヒロインの数を増やすのが正直面倒。

その結果、一番書きやすかったのが、盾の勇者などで既に見られていた、自分能力理解してくれない周囲/それを見出して受け入れてくれるヒロイン、の構造だったのかもしれない。

とにかく、今ランキングを見に行くと、異世界ブームの頃とは結構様変わりしていて面白いと思うので、一度訪れてみてください。

追記

悪役令嬢ブームについては敢えてオミットした。というのも自分男性向け界隈しか追ってきていないので、書けるほどの情報量が無いからだ。

悪役令嬢は男性向け異世界転生であるRPGチート転生ハーレム流行っていた時期に突如として登場した女性向け界隈の情報チート型の異世界転生だ。

男性向けとはパラレルに、枝分かれする形で流行していた。総合ランキングにも入ってきてびっくりした記憶はある。

だがどうも今回のブコメ等を追っていると、この男性向けと女性向けの枝分かれはハイファンブームの頃に合流していて、それが追放系の下地を作ったらしい?

ちょっと興味深い話なので、自分より詳しくこのあたりの経緯を書ける人がいたら是非書いてみてもらいたい。俺が読みたい。

  • こういうジャンルの歴史に興味があるから、ためになった

  • 悪役令嬢モノの話が無いぞ

  • ハズレスキルで無双してやんよw

  • 俺もまあまあ長いこと読んでるけど結局ランキング乗るのは無双系で ここに書いてるジャンルは棒の先がモップに変えられるか、ブラシに変わるか程度の差としか思えん。

    • 「何らかの理由(神様の詫びチート/前世の記憶持ち越し/ゲーム世界に対する原作知識/異世界料理よりうまい現代日本料理/追放先での超幸運によるパワーアップ/やり込んだゲー...

  • 未だになろう=異世界転生な認識が強いのは、2,3年前に出版社が書籍化やコミカライズする時に馬鹿の一つ覚えみたいに「なろうで有名!」「人気のなろう系小説を漫画化!」って煽り...

  • まだ追放系でブーム止まってんのか……

  • 面白い なろう系は一度無教養なオタク向け通俗小説とレッテル貼られてしまったから、 情報が更新されないまま、異世界転生してうんたらって話ばっかりなんでしょーと思っていたし...

  • なんか雑 昨今は、転生か、VRかハイファンかとかあんまし関係なく スローライフ、農業、村作り、追放、外れスキル、悪徳領主とかのワードの方が強い それの舞台が、転生なのか、ハ...

  • 追放系とかいうのここ2000年ほどずっとはやりでは?

  • 悪役令嬢の婚約破棄とかざまぁ物ってまんま追放系の類型じゃね?としか(あんたに捨てられたけど私はこんなに幸せになりました!) しかも乙女ゲー的ハーレムのアンチだから反転位・...

  • 一般オタクにとっては異世界なら転生してようがそこに最初からいようが変わらないわ 追放たってやっぱり異世界なんでしょ、全くワクワクしないしどっちでもいい

  • 異世界転生転移以降……というかVRMMOからかもだけど、延々復讐譚が人気なのはなんで? 重い復讐譚、ポップな復讐譚とあるけど、不当に虐げられた主人公ばっか。 いまだにバスティア...

    • 復讐譚は動機と目的の設定が楽だからじゃないの

    • 近代大衆小説の元祖からして巌窟王=NTR復讐譚だし、鉄板中の鉄板だからじゃないの

      • あれ今出たら完全になろう系の話だよな。 奴隷の幼女を買い取って嫁にする辺り完全に。

  • スローライフ系の流行もあっただろ。一時期題名が「〇〇ライフ」の作品ばかりがランキングに名を連ねた頃もあった。 ゼロ年代末から2010年代はじめごろの話で、いわゆる書籍化ブーム...

  • なろうよりもさらにさかのぼるとバトロワ系が一大勢力だった。少年少女たちが極限状態で生き残りをかけて殺しあう設定は、生と死の人間ドラマを書きやすくゼロ年代の人気ジャンル...

  • はてブのコメントにあったけど 月夜涙の作品歴を追えばいいとうのは大草原 wwwwwwwwwwww なろう系のトレンド、またはそのキーワードばかりを 使う量産作家だからこそ、流行もしくは流...

    • 腋先生は前まで馬鹿にしてたけど あのスタイルをとことん貫いてるから逆にリスペクトするようになったわ

  • > 異世界ブームの頃とは結構様変わりしていて面白いと思うので、一度訪れてみてください。 様変わりしていると思えてしまうのは、なろうにずっぷり浸かって、読み続けてきている...

  • 様変わりしていると思えてしまうのは、なろうにずっぷり浸かって、読み続けてきているからというのもあると思うんだよね。 増田と同じように読み続けてきて、増田よりは悪役令嬢と...

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