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2018-06-30

しんちゃんと私

私が初めてしんちゃんテレビで観た記憶は、おそらく私の最古の記憶でもある。

でも、話の内容は全く覚えていない。エンディング映像と曲(米村裕美『素直になりたい』)が妙に心に残っている。

その頃私はたぶん5歳かそこらで、しんちゃんとほぼ同い年。

ウチはそこそこお堅い家庭で、テレビ基本的NHK民放はせいぜい動物モノの番組ぐらいだったけど、ドラえもんしんちゃんは許されてた。

それどころか(アニメ比較して下ネタも多い)原作読書である母親がほぼ全巻揃えてたのである。当時は2000年代以降のような再評価の流れもなく、普通に子どもに観せたくない番組筆頭だったはずだが、母なりになにか感じるものがあったのだろうか。

そして私はしんちゃんに夢中になった、というわけでもなく、しか我が家には漫画本といえばしんちゃんしかないので、暇な時間はとりあえずしんちゃん。毎週一回のアニメ(今は金曜日だが昔は月曜日放送してた気がする)も、どうしても観たいというわけでもないが、とりあえず観る。

ただ当たり前のようにしんちゃんは私の生活の中に存在していた。私が中学高校大学と進み、成人しても、しんちゃんは5歳児の姿のままで…

そんな私も、しんちゃんからしばらく離れた時期もあった。大学在学中に、家出同然で実家を飛び出した。

想像を絶する極貧生活の中で、漫画を読むどころではないし、仕事の都合でテレビ放送も観ることができない。

はいえ熱心なしんちゃんマニアというわけでもないため、それを特段意識はしてなかったのだが。

そういえば原作者が亡くなられたのはこの頃だろうか。もうしんちゃんの新作は二度と読めないという事実に、なんとも寂しい気持ちになったことを覚えている。

でも、アニメ制作に関わる方々や、偉大な声優さんは、しんちゃんを生かし続けた。オトナの事情という側面はあるかもしれない。私だって当時は複雑な気持ちにもなった。でも今は…

その後、ひょんなことから、私はとあるから来た留学生の子と付き合うことになる。

しんちゃんが好きで、日本に来てすぐ春日部に行ってみたら、何もなくて驚いたのだという。

別にそれがきっかけというわけではないが、しんちゃん好きな人とならきっと上手くやれるだろうな、とは思った。

少しずつ生活に余裕が生まれ、いつもではないが、時々、ご飯を食べながら一緒にしんちゃんを観るのだ。私は31歳になった。でも、しんちゃんは、野原家は、幼稚園も、かすかべ防衛隊も…変わらない。いや、妹が生まれたり、先生が増えたり、ネネちゃんが凶暴になったり、ちょっとした(?)変化はあったけど。

自分子どもの頃から変わらずに、生きて存在し続けているものがある、それがどれほど喜ばしいことか!

実家には何年も帰っていない。でも、しんちゃんの声を聴くたびに、ちょっとホッとして、まるで、帰りたい場所に帰ってきたような気持ちになる。

それは、本当に偉大な仕事だと思う。

 
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