2024-11-24

怪談の教訓性が失われていく──「怪談界隈の終わり」を読んで

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https://s-mizuki.hatenablog.com/entry/2024/11/23/153527

最近怪談界隈の動向を見ていて、かなり違和感を覚えている。

怪談スピリチュアル陰謀論に寄り過ぎているというのだ。確かに最近は、霊感芸人都市伝説YouTuberが共催したイベントで観客が失神したり、心霊現象を主張するスタジオ科学者から批判を受けたり、業界著名人根拠不明陰謀論を発信したりと、色々と物議を醸している。

でもそもそも怪談って非科学的で根拠のないものじゃないのか、という疑問が湧いてくる。確かにその通りなんだけど、ここで重要なのは怪談が持っている「教訓性」という側面だと思う。

江戸時代から続く日本怪談文化には、単なる恐怖だけでなく、必ず何らかの教訓が含まれていた。約束を守らなかった者が祟られる、人を呪えば自分にも返ってくる、といった具合に。怪談非科学的でありながら、人間の行動や選択の結果として恐怖や災厄を描くことで、倫理的な問いを投げかけていたんだ。

一方で今流行っているスピリチュアルは「宇宙エネルギー」とか「波動」とか、抽象的な概念による「癒し」を売りにしている。そこには具体的な人間の行動や選択に対する考察がない。陰謀論に至っては、特定個人や団体を「隠された敵」として警戒を呼びかけるだけで、建設的な示唆に乏しい。

まり現代怪談界隈が抱える問題は、単に非科学的というだけでなく、怪談本来持っていた文化的・倫理的価値を失いつつあるということなんじゃないだろうか。スピリチュアル陰謀論との安易な結びつきは、想像力を刺激し教訓を与えるという怪談本来役割を歪めてしまっている。

このままでは怪談文化のもの社会からの信頼を失い、スポンサーメディアの支持も減少していくだろう。さらに深刻なのはSNSなどで拡散される偏った価値観や非科学思考が、特に若い世代に悪影響を及ぼす可能性があることだ。

怪談文化を守るためには、エンターテインメントとしての面白さを保ちながら、その歴史的背景や文化価値を再評価する必要がある。非科学的な要素は怪談の特徴として受け入れつつ、それが持つ教訓的な意義をしっかりと見つめ直すべきだと思う。

  • 科学教育を受けた世代にとって怪談に教訓性なんか最初から無い それは「公正世界仮設」と名付けられ認知バイアスだとされているし 現代人はサイコパスになることが生き残る術なのだ...

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