2022-01-09

タコピー原罪宇宙人リアリティについて

めちゃくちゃ流行ってるので早速読みました「タコピー原罪

未読の方向けにストーリー簡単説明すると、いじめ虐待などの被害にあっている少女の元に、「ドラえもん」的なひみつ道具を持つ謎の宇宙人タコピー」がやってきて、少女境遇を変えようと奮闘する──というもの

ただしこの作品ひとつだけ欠点があります。それは作中で描写される「宇宙人」の描写に全くリアリティがないことです。

なんというか、「そこそこ」はリアルなんですよ。ネットニュース等で報じられる宇宙人目撃情報キーワードはしっかり勉強しているというか。

しかし全体的な整合性が致命的に欠けており、ある程度実情に詳しい人が読めば首を傾げたくなるシーンが3ページに1回くらいの頻度で出てきます。これを「タコピー鬼つええ!」と評していた方がいましたが、秀逸な表現だと思います。なまじっかリアリティを重視した結果、かえって違和感が膨らんでしまっている。

タコピー境遇

"よねんせい"という種類の"にんげん"しずかちゃんと遭遇し運命が大きく変わってしまった不遇なる宇宙人ことタコピー。本作の主人公であり、最も悲惨境遇にあるハッピー星人です。

タコピー境遇を列挙すると、なかなかにハードです。



…などなど。タコピーは第四話のラストで"にんげん"をハッピーするわけですが、まぁそうなっても仕方ないよねと思わせるようなラインナップです。

ただ、残念ながら「ありがち」な要素を詰め込んだ結果として、全体の整合性が全く取れなくなっちゃってるんですよね。ハッピー星は(遠い星系にあるハッピー星までひとっ飛びの)ハッピー船の描写もありますから、決して技術水準が低いとは思われません。"にんげん"ごとき捕獲するのは不可能でしょう。作中にはハッピーカメラもあり、危害など加えようものなら即座にハッピーされそうです。

さらスペースシャトル大気圏突入するときの底面部分の温度は1000℃程度ですが、機首先端部の最高温度は1600℃以上にはなると言われていますまりちゃんの平手打ちにすら痛みと恐怖を感じるのにタコピーが生身で大気圏突入するのはかなり不自然描写と言わざるを得ません。(三枚とは言え)大気圏内まで降りてこないハッピー船に翼がついているのも違和感しかない。

宇宙人描写もかなり不自然で、タコピーは全身足だらけ、目が点にタコ口で丸くてコロコロ…という悲惨ビジュアルなのですが、今どきこんな「わかりやすい」宇宙人描写ってあり得ないんですよね。

宇宙人の怖さ・悲惨さというのは技術から隔絶された未開星が秘密裏支配され続けることにあるわけで、星系間航行可能技術レベルともなればこんな「わかりやすい」形で現れる宇宙人存在しません。

なんというか、タコピーの苦境のほとんどは「わかりやすい」宇宙人未来技術タコ火星人記号パッチワークで作られているんですよね。その結果それぞれの要素が他の要素と相互矛盾を起こし、ほとんどあり得ない境遇が生まれしまっています

以下は購読者に向けた余談として、筆者が「この宇宙人描写はすごいな」と圧倒的リアリティを感じたいくつかの作品お話をさせて頂こうと思います

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  • 架空の作品にリアリティを求めちゃう奴ってファンタジーを何だと思ってんのかなっていつも疑問に思う。

    • 都合のいい時だけはフィクションだろうがファンタジーだろうがなんだろうが社会派面して持ち上げちゃう人らがいますからね。 そういうのやめたらいいだけなんですが。

      • 自分の理解の範疇で作品を描いてくれと駄々を捏ねてるだけなんだろうな。世界や社会への自己解釈と作品が一致した時だけ、リアリティ云々を愚痴らなくなるのかもしれない。つまり...

    • 「リアリティがない」から「つまらない」と感じてるんじゃなくて 「つまらない」と感じたから「リアリティがない」と理由探ししてるんだよ 元増田に限らずインターネット映画批評...

  • 意識高いマンが「この作品はいじめ描写にリアリティがない」つってドヤ顔してる時に タコ型宇宙人のリアリティとかいうどうでもいいものを指摘してドヤ顔してる増田ときたら

    • そういう着眼点のズレ自体がこの元増田の文章が提示している面白さなのだと思う。

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