2021-06-19

最終兵器彼女を読んだ

最終兵器彼女を読んだ。

中学ときから存在は知っていて、友達からおすすめもされたし、彼から感想も聞いていた。

しかし、当時はなぜか読めなかった。

怖かったのである

自分の心が抉られるのが。

架空存在に夢中になってしまうことが。

実在しない少女のことを本気で思うのは綾波レイで充分だった。

エヴァンゲリオン漫画版)を中二の時に読んだ。

綾波のことが頭から離れず、しばらくの間本気で苦しんだ。

その悲痛な身の上、翳りのある美しさに本気で惚れてしまったのである

その後、いわゆるセカイ系と言われる作品からは遠ざかっていた。

心が抉られるのを防ぐように。

失恋にも至れないような恋愛感情に苛まれないように。

それから14年経過した。

高校大学卒業し、就職した。

結婚して、子供ができて、家も買った。

ふと訪れた友達の家に、その漫画はあった。

中学のころに惹かれていたことを思い出して、手にとって読んでみた。

なんか違う。読んでいて違和感を感じる。

こんなものだったのか。

そもそも高校生活は10年ぐらい前に過ぎ去ったためか、恋愛描写がどうも青臭すぎてもはやついていけない。

「そんな女なんていねーだろ」

「うだうだ言ってないではやくやっちまえ」

過去の女の話をするなよ拗れるぞ」

色々とアラサーなりのツッコミを入れたくなってしまう。

人並みに恋愛経験してきたので、その経験が没入の邪魔をしてしまう。

物語兵器としての宿命を背負ったちせと彼女と愛し合うシュウジを中心に進んでいく。戦争が進むにつれて周囲の人も死んでいき、終末感漂う世界だが、どうも現実味がない。もちろんSFなので現実味はなくて当たり前なので、ここではリアリティというべきか。

没入できないのである

普段の悩み事といえば、両親の老後の心配だったり、住宅ローンをどうするかであったり、日々の仕事だったり、高すぎる社会保険料だったりする。

いつ滅ぶかもしれない世界よりも、来年住民税のほうが気になって仕方がない。

兵器となった女の子に同情はするが、どうも現実味がないのでそれ以上の感情は抱けず、本気で心配する気になれない。

普段存在している世界方向性が違いすぎていまいちピンとこないのだろう。

そもそもちせは高校である上に子供っぽいという設定であるアラサーにはガキすぎて抱く感情といえば恋愛感情というより親心に近い。

そういえば、シンエヴァを見た時も同じような違和感があった。

レイアスカもガキっぽくて付き合いきれねーなと思ってしまった。あの2人よりはマリの方がいい。そして彼女たちよりも子供たちを見守っているミサトさんのほうに惹かれてしまう。

気がつくとシンジよりもゲンドウに同情していた。シンジユイ面影を見出すところで思わず涙した。ここでも親心が発現している。

14歳ときに読んでいたら、見ていたら、抱く感想全然違っていたのだろう。

14年という月日で「大人」になってしまった。

やはりあの時読んでおくべきだったか

後悔先に立たずである

  • 高校生にしか欲情できない28歳になるよりはマシだったのでは。

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