2020-06-24

2020年 電車の国東京永遠なれ!

2020年日本のみならず世界を襲った100年に一度の大恐慌と1000年に一度の疫病、2020年頃になると東京全体に「鉄道社会は恥ずかしい」という共通認識が完全に定着しました。もはや東京結婚離れならぬ満員電車離れも時間問題です。

鉄道社会環境が作り出すものです。自分鉄道好きになること、家族や知人を鉄道好きにしてしまうことは社会的にとても恥ずかしい行為という認識が定着した東京には、連綿と続いてきた鉄道社会伝統継承する者がおらず、あとは絶滅危惧種指定された少数の鉄道社会が滅んでいくのをただ待つのみです。

しかし、一時は最大勢力を誇ってきた東京鉄道社会も完全にいなくなってしまうとなるとなんだか寂しい気がするもので、人々の間では昔を懐かしむかのように私鉄満員電車を懐かしみ、その滅亡を惜しむ声も聞こえてくるようになりました。だからといって自分鉄道好きになるかといえば、そこまでする勇気もないわけで、ただただ傍観するしかないのでした。

このような状況下において、元鉄道好きの中から自然発生的に「鉄道社会満員電車の保存運動」が叫ばれるようになります。すでに「日常風景」としての満員電車鉄道社会は滅んだも同然ですが、代々続いてきた鉄道社会消滅をこのまま黙って見ているわけにもいかず、鉄道社会文化遺産の一つとして保存しようとする動きが出てきたのです。その昔、満員電車の本場とまでいわれた東京ですから、この運動が実を結ぶのにそれほど時間はかかりませんでした。

そして、ついに「東京鉄道社会」は国の無形文化財認定されました。今では祭りなどのイベントで年に数回みられる程度になってしまいましたが、それでも大晦日から新年にかけての「電車祭り」には毎年たくさんの見物客が訪れ、いまや東京で最もメジャーイベントになりつつあります

また、鉄道社会保存のための鉄道社会基金に集められた寄付金で、さきごろH市に鉄道社会記念館なるものオープンしました。そこには往年の東京通勤電車通勤ラッシュ鉄道オタク写真などの資料の展示をはじめ、鉄道オタクなりきりコーナーや鉄道警察体験コーナーや痴漢体験コーナーなどのアトラクションにいたるまで鉄道社会に関するありとあらゆるものが展示され、新たな鉄道オタク聖地となりつつあります

この頃から各地で絶滅寸前だった鉄道趣味の生き残りがしだいに聖地東京移住するようになり、都市不況に悩む都市といわれていた東京鉄道社会観光の目玉に据えることで、日本はもとより海外から観光客をも取り込むことに成功したのでした。あまり知られてはいませんが、東京鉄道趣味と本場ドイツ鉄道趣味との国際交流もさかんに行われているようです。

結局、東京から満員電車日常風景から消え、鉄道社会はその規模こそ減ったものの、最後まで滅ぶことなく、一つの歴史遺産として代々後世に受け継がれていったのでした。

……東京痛勤ラッシュ鉄道社会永遠なれ!

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