わかめ酒をやってみようとその場のノリで決まったのだが、振付師をやっているというアラサーの彼女とはその時点でそれほど深い仲でもなかった。大久保のネパール居酒屋で、オメガラーメンの話題で盛り上がり意気投合したのがきっかけで、それから1、2度周辺の店で会ったくらいだ。一部のラーヲタのあいだで話題になっている程度のマイナーなジャンルを知っていたくらいなので、変わったことが好きな人なのだろうという印象くらいしかなかった。目鼻立ちがはっきりしていて、母親がフィリピン人で父親が日本人なのだという。
普通の部屋でやると床が汚れるので、ホテルのバスルームでやろうということになった。日本酒でわかめ酒ができるくらいの量だと多くて飲みにくいのでビールでやることにして、コンビニでビールの500ml缶を2本買った。これだとわかめビールだけど、まあいいだろとふざけながらホテルに行った。
さらに想定外のことに、互いに服を脱いでバスルームに入ってから気づいたのだが、振付師は仕事柄VIO脱毛をしているのだといって、わかめすらなかった。光が七色に変化していくジェットバスの縁に座って脚をぴったりと閉じてもらい、その間にビールを注いで飲むと、なんのことはない、生暖かいビールの味がした。振付師は終始ハイテンションで笑っていたが、脚を開いてもらい、ビールの味がする突起を舐めると、わりとハスキーな普段の声からは意外な声を出した。
その後はベッドルームで時間までダラダラしながら振付師の仕事の話を聞いた。わりと有名なアイドルグループの曲から、地方のご当地アイドルまで、さまざまな案件の振付をしてまわっているらしい。かぎられた時間と予算ですべてのグループにオリジナリティあふれる振付をするわけにもいかないし、またそういうものはメインとなるファンには求められていないので、アイドルグループのジェネリック振付みたいなものをベースにして作っていくのね、そしてそれは、じつはバナナラマがもとになってる、のだそうだ。バナナ……?なにそれ?と聞き返してしまった。
ベッドルームには大きなテレビがあって、YouTubeの動画も見られるようになっていたので、振付師は器用にリモコンから検索してバナナラマの動画を出してくれた。それを見たとたん、うわ、ださっ!と思わず声に出してしまったのだが、踊っている3人の白人女性の動きをよく見ると、たしかに現代の日本のアイドルグループみたいだった。だが言い知れぬ違和感があった。
まあ、ださいよね、でも、日本のアイドルグループには基本的に、かっこいいコンテンポラリーダンス的な振り付けは求められてなくて、あまり新しいアプローチを入れても人気は出なくて。結局こういう振り付けに落ち着くんだ、と振付師は解説してくれた。
現代のアイドルグループの振付が、80年代のイギリスのグループの振付と基本的に変わっていないことはもうちょっと知られてもよいのかもね、などという話をしながら近くの韓国料理屋でサムギョプサルを食べてから別れた。
で、セックスしたの?
たんぽぽ2020
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グローバルだね
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