今、とんでもない罪悪感に襲われている。
これが周りの友達に言いふらされたら自分の本性を見破られて失望されてだんだんと距離を置かれていくんだと思う。
僕は今、シェアハウスに住んでいてその家は結構変わった人たちが集まる家だ。
一人一人が悩みを抱えていてバックグラウンドが似ているから住人同士の結束力も高い。
でもみんなお金が無い。毎日あくせく働いてギリギリ家賃を払っている。
できれば楽してお金を稼ぎたい。
そういう切羽詰まった状況の時に僕はやっていけないことをした。
彼は東京に憧れて、何も持たずに家に転がり込んできた。
最初はびっくりしたけど、話を聞くと悪い奴ではなさそうだったからとりあえず空いてる部屋で寝てもらうことにした。
話を聞くと、地元にいるより東京の方が面白い人に会えるし、金持ちも多いから人生を攻略できるだろうと考えたのだ。
今は動画編集の勉強をしているそうで、受講料7万円のスクールに通っている。
ほう、色々行動力のある奴だなと思った。
同時にこいつはチャンスだ、と思ってしまった。
自分も動画編集の勉強をしていて、今案件を獲得しようとしている。
自分は独学で勉強してきて、結構時間もかかったし、やっぱりお金をかけてスクールに通った方が稼ぐのは早くなるなと思った。
だから一度そのスクールの教材がどんなものなのか知りたかった。
そして魔が差した。
僕はその家で少年に受講料の半分のお金をあげるから、教材を見せて欲しいといった。
それも周りにはバレないようにこそこそと話した。
彼はお金に困っていたから良いよといってくれた。でも僕のことを怪しんだ目で見ていた。
こいつ、俺を利用して金を使わずにずるしようとしている。
だから僕は終始、辛かった。申し訳ない顔でありがとうというしかなかった。
僕はとてもずるい。卑怯な男だ。
そして、周りの友達にこのことがバレたら一気に信頼してくれなくなるだろう。
そして少しずつ周りから距離を置かれて、気づけばひとりぼっち。
そこで堂々と困っていることを言えればよかったのだが、プライドが許さなかった。
だから、誰にもバレないように自分ならいけそうな女の子に声をかけた。
そして運よく付き合えたら、何事もなかったかのように彼女がいるアピールをしたかった。
いつだって僕は周りに困っている表情を見せない。
本当のことを言わない。
今回のことも、高校生のころの話も、なんとかずるをして自分の優秀さをひけらかそうとする。
結果的に周りから変な人、何か信用ができない人と見られて友達ができない。
たとえ、周りがそう思ってなくても自分が罪悪感を感じた途端に疑心暗鬼になり普通にコミュニケーションを取れなくなる。
僕はいつも一人きり。
堂々と受講料を払うから俺も入るからアドバイス欲しい、とか言えば良いのだ。
ずるをすることが悪いんじゃない。
それを影でこそこそとやるのが、かっこ悪いし、こいつは何考えてるんだとなってしまう。
たかが数万円のお金を渋って、大事な人からの信頼を下げてしまった。
僕は情けない。