事実と意見を区別して話せないのは何故か、という記事が話題だ。
https://blog.tinect.jp/?p=62453
下記のような会話のことを言っているらしい。
「昨日の営業、途中退席してごめん。お客さん、ウチに依頼するか、決めてくれた?」
「大丈夫って……決まったのか、決まってないのかが、知りたいんだけど。」
「あ、まだ決まってないです。」
~中略~
「だ、か、ら、お客さんはなんて言ってたの?」
「あ、すみません。えーと……確か、わかりました、と言ってました。それと、今思い出したんですけど、見積もりを指定の様式にして欲しいとも言ってました。」
なんか凄くパワハラ的コミュニケーションだし、受注できそうならええやんと思わないでもないが、これはシチュエーションを簡略化しているだけだと信じよう。
さて本題。
実際決まりそうなら別に良いが、決まらない見込みの場合どうするか。売上の見込みが立たないとは、ブラック企業においては「もっと頑張ろう」に繋がる初段であり、残業・休日出勤に至る確定コンボである。だが、意見感想による誤魔化しの末路は上述の通りだ。意識高そうな上司は容赦なくあなたを残業に追い立てるだろう。さりとて事実を直球で伝えてもダメだ。
その場では決めてくれませんでした。金額について「交渉の余地はあるか」と聞かれましたので。ただ、金額の折り合いさえ付けば、残りの課題は解決しているので、受注可能です。
記事中では上記が正答とされているが、こんなのは下策もいいところで、信じてはいけない。特にまずいのは、「残りの課題は解決しているので、受注可能です」の部分だ。肝心なところで意見を言ってどうする。受注できなかったらどうなるか想像しろ。「可能」なのにできなかった、それはお前の頑張りが足りない能力が足りない即ち人より頑張れである。
金額が課題であると明言しているのも問題だ。これが解消されたら言い逃れできないからだ。明確な課題はぼかし、可能性の期待値は調整し、いけそうに思わせつつ、仕方ない事態も発生しうる ――― 我々は仕事をサボるために、この細道を渡りきる必要がある。大切なのは事実と意見の区別ではない。コンビネーションである。事実が最初に一つあれば他も事実と思うのが人間の性質だ。
したがって、こんな感じでいきたい。
1.その場では決めてくれませんでした(事実)
3.金額について”も”交渉の余地があるかと聞かれました(事実)
5.その他の懸念を明らかにできるよう先方と会話続けます(意見)
まあ少し粗はあるが、エッセンスは伝わるのではないか。やり手のブラック上司になると5の手法を詰めてくる可能性はあるので注意が必要だ。場合によっては方針くらいは用意しておこう。実行する必要はない。
大体、その場を中座した上司にも問題はある。書きっぷりを見るにおそらく予定外だったのだろう。なのにあんな責め口調でくるとは。やはりブラック企業の気質ありだ。「受注可能です」なんて言質取る解答を正としているあたりに黒が透けている。目論見通り失注した暁には「競合は上長まで引っ張り出してきたようで」くらい言って、それとなく責任を追及してやれ。ついでに「やっぱり〇〇さん(上司)の力が必要でした、まだまだ学ばせてください」とか適当におべんちゃらも使っておけば良い。今回は運がなかったが上昇志向があるから大丈夫、的な評価が得られればしめたものだ。その信頼残高でしばらくサボりつつ、転職しよう。
例として出てる会話はすごくわかる 身近にそういう人いるからめっちゃ共感したわ