「自殺未遂者とセックス由来によるHIV感染者とアル中とヘビースモーカーは
全て保険治療適用外にするべきだと思ってるのよね。」と言った。
ネットにこの音声でも流れたら即失職だろうな」と思いながら
適当に相槌をうっていた。
折れそうなほどに痩せ細り、異様に落ち窪んだ目がギラギラしていて
「人違いです」と逃げるのも悪い気がして挨拶をし、
カフェをする時間でもなかったので近くの居酒屋に行くことにした。
座るなり彼は「お姉さぁ〜ん」と呼び、ハイボールをダブルで注文した。
映画の話しをする気配は一向になく、なんだか危なそうな人だったので
一杯だけ飲んだら早々に話しを切り上げて帰ろうと思っていたのに
何故か向こうは自分に心を許したらしく、「仲良くなりたいから話すね。」と前置きをして
自分がHIV感染者であること、パンセクシャルの男娼であったことを語り始めた。
セックスしまくってたんだけど、いざなったら人生終わった!って感じでぇ〜」と
悪びれる様子もなく明け透けに言う彼。
言葉がたどたどしいのは鬱病と脳漿を併発しているからなのだそうだ。
行ってる病院にはぁ〜似たような子がたくさん来てるよぉ〜」
現在は生活保護を受け、二日に一度来てくれる在宅介護のヘルパーが
炊事や洗濯などは全て面倒をみてくれるらしい。
男娼をやっていた頃の太客からも援助を受けているそうで
「日本ていい国らよねぇ〜、なぁんもしなくても生きてはいけるしぃ〜。
スマホつかって遊んでれば生きて行けるのぉ〜。
でもねぇ〜、これでもいつか社会復帰はしたいんだよ。
そう言ったらヘルパーさんも偉いねぇって褒めてくれるのぉ〜エヘヘェ〜」
三本目の煙草に火をつけた時、「もう一杯いい?」と言うので
「せっかく久しぶりに人に会えたのになぁ〜、寂しいなぁ〜。」と
大声で話しながら店の外でふらふらと漂っている彼は
また会えるといいなぁ〜」と、男娼をやっていた頃ならば
必殺業にしていたのであろうとっておきの笑顔を見せた。
「ごちそうさまぐらい言える大人になりましょうね」とだけ言って背中を向け
「あ、ほんとら!ご、ごめんなさい。ごちそうさまっ!」と言っている
彼の方を振り返りもせずに駅に真っ直ぐ向かって帰った。
「自殺未遂者とセックス由来によるHIV感染者とアル中とヘビースモーカーは
きっとあの女医は、こんな人を山ほど見てきたんだろうと思った。
ワイは、中毒性がありなおかつ身体を壊すもの全般が嫌いで 酒もタバコもコーヒーもジュースもソシャゲもバクチも嫌いだし、ジュースに限らず、一定以上の砂糖を利用している食品も...