2016-01-25

魔女宅分かってない奴多すぎる問題

魔女宅がどういう話なのか分かってない奴が多すぎるのでまとめとくことにする.

ギブアンドテイクが基本の社会への入門物語

魔女宅は徹底的にギブアンドテイクが貫かれている.

当たり前だが街について宿泊するにはお金必要だし,

おそのさんのパン屋への居候も店番をするっていうのが条件.(かなり甘いけど)

クロネコ人形を直して貰うのも部屋の掃除をさせているし,

近いから歩いて行けるので運賃は要らない,とキキが言ってもダメだとしっかり諭す.

子供のうちは無償善意を受けることができるが,社会に出たらそうはいかないということを序盤からしっかりたたき込んでくる.

この頃のこの手のアニメだと序盤でそういう扱いを受けても割と優しい人から無償善意を受けて話を進めるんだけど,

宮崎駿はそれをしなかった.おそのさんはとてもいい人だけど昼飯と夜飯は自分で用意しろ,ってことだしね.

まぁ,そういう背景があるのでラストシーンがより際立ってたりする.

テクノロジーによって無くなりつつある文化

キキの母親魔法で薬を作るのを生業にしてるけれど,私の代で終わり,と言っている.

これはキキが覚えようとしなかったっていうのもあるんだろうけれど,恐らく薬学が進んで魔女の薬が必要無くなったんだと思われる.

薬を貰っているおばあちゃんが「私にはあなたの薬が良く効く」という台詞を喋るのもそういう背景があるんだろう.

魔女しか作れない,作用機序も分からない薬よりも,薬学で作られた薬をみんなが使う.

しかしたら効き目も負けているかもしれない.もう魔女の薬は要らないんだろう.そんな悲しい想像ができてしまう.

というか,現実社会でもよくある話だと思う.

そして,キキが空を飛べるというのももはや特別なことでは無い.

飛行機飛行船で人は誰でも空を飛べるようになり,トンボのような少年でも飛行機を作っている.

この世界ではそのうち小型のヘリコプターぐらいは作られるかもしれない.そうすれば空を飛ぶことは魔女特権ではなくなる.

そんな悲しい背景があるが,もちろんキキがそんなことを考えてもどうしようもない.

キキに出来ることは空を飛べることで,その特技を活かして宅急便を行うことを生業にするしかない.

ただ,前を見て今の仕事を続けるしかない.

そんな気持ちを抱えているからこそ,突然のスランプに陥ったキキの焦り様や,

トンボを助けなければいけないという必死さが生み出した,デッキブラシという現代テクノロジーが生み出した箒にまたがって空を飛ぶという,なんともいえないラストシーンが産まれたんだと思う.

社会貢献生き方

この2つを踏まえつつ魔女宅を見れば,人間が成長して社会進出すると共にどのように社会と関わり,

社会貢献していくべきかを表した映画と捉えることができると思う.

ラストシーンではキキが街に馴染んで逞しく生活している様子が見て取れる.

あれだけのことをやったんだから宅急便なんてやめてレスキュー隊っぽい活動公的お金を貰うという考えもあっただろう.

街の小さい子供コスプレするぐらいに人気が出ているわけだし.

しか彼女宅急便を続けていることが,現代に生きる私たちにもある種の生きる希望を持たせていると思えなく無い.

もちろんこの他にも,ギブアンドテイクから外れている金持ちボンボンども(トンボもそのうちの1人だと思われるが)だとか,

とにかくそういうのが嫌で山に籠もって対人関係を断ち切って生きていく画家だったりだとか,考えさせられることが多い作品だと思う.

まりそういことを考えながら見たことが無い人は,是非次に見るときはそういうところにも注目して欲しい.

ラストシーンでは必ず泣くことを保証する.

  • 見通しが甘いからちょっとしたトラブルでもヤバいことになってく(カラスに襲われ荷物を落としてなくす)とか わかりやすく努力してても薄情な評価しかされない(ずぶ濡れになって届け...

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