当方リアル書店勤め。といってもコミック販売メインだから、本当の書店員の人には鼻で笑われる存在なんだけど(偏見)。
それに、はてなー的には、「電子書籍とネット通販こそ正義。売上ランキングを上から並べるだけで何の面白みもないリアル書店滅ぶべし、慈悲はない」って感じなんだろうから(偏見)もうブラウザそっ閉じ案件かとも思うんだが、備忘録的に書く。別に面白い結論も新たな知識も発想もないよ。
先日他の店に手伝いに行く用事があってさ、そこの店員氏にお薦めのコミック聞かれて、
「弟の夫」(田亀源五郎/双葉社)が発売したばっかだし面白かったからそれ薦めたのね。
そしたら「え?何?××さんホモなの?(半笑い)」っていうからかい気味のリアクションを受けたわけ。
自分の性的志向は同性愛じゃないので、そこは普通に否定して、「弟の夫」が家族のあり方を考える漫画として普遍的な面白さがあるし(学術書じゃなくてエンターテインメントなんだからここは大事だ)、かつゲイの問題提起として示唆に富んだ漫画なので、お薦めだよって話をしてその話は終わったんだけど。
後から考えると、これって「お前はホモという異常者ではないよな?」っていういささか差別的なニュアンスをはらんだ踏み絵的質問だったんだなーと気付いたんだよね(当人はそこまで考えて言ったわけじゃないだろうけど)。
そう言ってきた人は、少なくとも自分よりは頭の切れる人で、間違っても普段から差別意識をばら撒くようなタイプの人ではないし、接客業やってて、自分の言動が意図しない意味に受け取られてクレームになった経験がない人なんていないんだから、その人もそこは慎重になる習性がついてる。
そういう人でも社会的常識と癒着した無自覚な偏見からは逃れられないんだ、と改めて思ったのね。
そもそも、自分もその質問されて動揺がなかったかといえば嘘になるから偏見から自由とはいいがたいなって思ったりもして。
で、「弟の夫」ってこういう事例を踏まえて書かれているんだと、改めて心の隅っこの方に重石を置かれた気分になったわけ。
西原理恵子の漫画でも、死んだパートナーがゲイだと親戚にカミングアウトしていなかったため、パートナーじゃなくて友人としてその死を見送らざるを得なかったゲイの方の話が描いてあったけど、
そういう人が感じている社会の圧力って大きさは全然違えど多分自分の心のに置かれた重石と多分同質のものなんだろうね。
重石を置く側の人たちも、全く悪気があるわけじゃなくて、だからこそ自覚も改善も難しい。
そんな人の何人かにでも「弟の夫」というよくできた素晴らしい漫画が届くといいな
(何度でも言うが、そもそも漫画として面白いのだ)、と心底思った。
だから、「弟の夫」を少しでも売れるよう微力を尽くすよ。しつこいようだが漫画としても面白いしね!
もちろんそれ以外の漫画も売らないと店がが回らないし、
それ以外の漫画を求めるお客様にちゃんと面白いと思ってもらえる漫画を買ってもらうのも
みんな、「弟の夫」読んでくれよな!