別のを書こうとしてた矢先に凄いのが来たのでそっち書く。
午後。まったりとした昼下がり。
「勝手に入ったら怒られるかな…」とか普通の声量で呟きつつ受付に入ってくる60絡みの男性一名。
まぁ普通の人はこんな事言わないし、ちょっと変な受付だろうとその時点で予想はついた。
変なのに絡まれると三十分くらい相手の話を聞きお追従を言わなければならなくなる。新人の頃はよく引っかかった。
なので用事を見つけて受付から去りかけたが、男性が目標とする受付はこちらではなかったため、静観の構えに。
受付したのは別の人。
変な受付が集中する上に、ごく普通の対応をする為上長からは理不尽な叱責を受け、およそ三年に一回くらいのペースでキレている。そう言やそろそろ噴火時期だな。
老人「祈願を、お願いします」
噴火「はい、それではどのような御祈願でしょうか」
老人「特に願いは、ありません」
♪呼吸を止めて 三秒あなた 真剣な目を したから そこから何も 言えなくなるの 星屑ロンリネス(ズキュゥゥゥン)
老人「(沈黙状態から回復)ええ、世の中の平和というか、世界平和でお願いします」
長い事受付やってるが、神社で世界平和をわざわざ御祈願する奴初めて見た。
こいつはアーチャーかよ英霊エミヤかよ。共通点は白髪頭くらいにしか見えないが。
噴火「世界平和…ですか」
英霊「天下安穏ですかね」
いや、神社って事を考慮してわざわざ和風に言いなおさなくていいよ。
噴火「ハイ…それでは天下安穏で」
いやあんたも言われた通りに書くなよ。だいたいそういうのって私幣禁断の伊勢神宮あたりで頼む祈願内容じゃねえの?
英霊「〇〇市、…」
噴火「…。(書けない)」
字が分からないらしい。そりゃそうだ。他県どころの話じゃない。ゆうに千キロは離れている。
ほんと何しにきたんだこのご英霊は…。旅行?観光?世直し行脚?
噴火「ええ、どうお書きするかはわかりましたが…(硬直状態)」
別の人の助け舟「〇〇県ですね!」
県もわからなかったらしい。そりゃそうだ。遥か遠方にある市の名前だけパッと言われてもな。
ああそういやあそこ確か、広大な施設か何かがあるって話だったな。
しかし体格が良くも見えないし、退官者にはとても見えないが。
だいたいあそこの精鋭部隊に所属していたような人間であればもっと人間性を失っていると聞くが。
…まあこのご英霊の素敵な依頼っぷりもある意味、既に人間性を失っているんだが…はやくソウル回収しろ。生身に戻れ。
噴火「それでは、御祈願内容は…」
英霊「ええ。世の中の平和が続きますようにと。それと合わせて、この神社のご繁栄の祈念をお願い致します」
えええええ!? テメエでテメエんとこの神社の繁盛を祈願しろってのかよ!? 恥ずい! それ凄く恥ずいよ!!
ていうかホントに聞いた事ないよそんな祈願依頼! やった事もないし! あらゆる意味で前人未到だよ! 何だこの英霊は!
噴火「…わかりました(注:後で祈願内容をチェックしたら、それは流石に書いていなかった。というか内容がカブるため書けない)」
英霊「ご祈願料はこちらで」
割と常識的な金額だった。このへんはしっかりしているらしい。
さっきの、神社によっては神職が全員敵対勢力化して襲いかかってくるような、失礼ってレベルじゃない祈願内容との落差が激しすぎる。
噴火「こちらお札と領収書になります(注:世界平和のお札なんて流石にないが)」
英霊「今日はちょっと、急ぎますので…それではこちらで失礼致します」
噴火「わかりました」
英霊「それでは、この神社の繁栄をお祈り申し上げております!(ビシっと礼をして去る)」
ていうかお前自身が神社の繁栄を祈願するのかよ。それは我々に依頼したんじゃないのかよ。
そもそもやらないよそんな恥ずかしい祈願。なんでよそ者に歴史と伝統の大神社が足元見られてんだよ。悲しくなるわ。
いやー色々と規格外だった。まさかとは思うが、あの旅装であちこちのデカい神社行って同じ祈願依頼してねえだろうな…。
びっくりするぐらい短気で癇癪持ちの神職(しかもそれで問題起こしまくってもクビにならない)も大勢居るんだし。
あちこちで嫌味言われたりキレられたりしても知らんぞ、ご英霊。
今までこんな祈願受付した事なんて無かったのに、何で今頃になって突然…としばらく首を捻っていたのだが。
ああ。世間じゃ今、集団自衛権があれこれ取り沙汰されてるから、世を憂えて、こういう祈願に来る人ってのも現れんのかな。
という事には、後になってからようやく気付いた。
俗界は大変ねえ。
ん? 今年の話だと思ってんのか? ほれ、以前書いたエピソードだがこいつの一行目をよく読め。 http://anond.hatelabo.jp/20140705003923 これ自体は昨年の、確か七月末か八月頭くらいの話だな...