2021-11-21

シュクメルリという料理を作った

俺はアラフィフ独身男性だ。

ぼっちな寂しい生活ではあるけど対して不満もない。

食事には特別関心があるほうではない。どちらかというとご飯よりお菓子のほうが好きだ。

この10年くらい朝は抜き昼は適当にその辺で済ませ、夕飯も帰りにどこかで食べるか家でコンビニ飯だ。

今まで料理らしい料理はほぼしたことがなく、オムレツとか野菜を肉と炒めただけのものとかそれくらいしか作れない。



今日スーパーに行っていつものように惣菜でも買うつもりだったんだが、たまたま見かけたあるインスタント食品名前が気になった。

「気ままにグルメ シュクメルリ」と書かれていた。

「シュクメルリ」とはなんなのか。パッケージ写真シチューっぽい見ためだ。裏を見ると必要材料が書かれていた。

鶏肉サラダ油玉ねぎ牛乳、水。

ずいぶん簡単そうだ。

パッケージには「ジョージア郷土料理」とも書かれていた。ジョージアとはどこなのか。アメリカにそんな州があった気がする。

そのまま棚の前でスマホ検索したら、ジョージア州ではなくてジョージアという国のようだった。昔はグルジアと呼ばれていたとわかった。

グルジアという国名には少し聞き覚えがあった。なんか格闘技強めな国じゃなかったっけ?

ロシアの南、トルコの北に位置するようだ。なんとなく地理的雰囲気イメージできてきた。

ここにきて俺の心はワクワクした。

ジョージアという国で食べられている料理作ってみたい。

そのまま思いつきで「気ままにグルメシュクメルリ」と、鶏のもも肉、サラダ油玉ねぎ牛乳を買って帰った。

よく考えたら包丁がなかったので100円ローソンにも寄って買った。包丁だけ買うと怪しいやつだと思われないか怖くて意味なくトングとかおたまも買った。



家に帰り材料を狭いシンクに並べる。

さて、下準備だ。まずは玉ねぎを切る。玉ねぎを切るなんて何年ぶりか。ひょっとして学生時代以来かもしれない。

適当に切ってざるに入れ、少し水に浸すことにした。なんとなくそうしたほうがそれっぽい気がしたので。

つぎに鶏肉だ。食べやすそうなサイズに切って、ここでふと自分なりのアイデアを盛り込みたくなった。

料理初心者がやらかすあるあるひとつだとどこかで聞いた記憶もあるが、どうしてもやりたくなった。

軽く興奮状態の俺はすぐさまスーパーに戻って薄力粉を買ってきた。

前にYoutubeで見かけた、鶏肉小麦粉をまぶして焼いてるのが美味しそうだったのを思い出したからだ。

買ってきた薄力粉を、鶏肉が入っていたパックにぶちまけてそこに切った鶏肉を置いて手でもんだ。

料理番組で見るかけるような光景さらに興奮した。



下準備ができたのでいよいよ調理だ。

まずフライパンに油を引く。俺のイメージ薄力粉をまぶした鶏肉の表面がパリっとした感じになるというものだった。

なので油を大量に入れてみた。油であげる感じに近くなるはずだ。

薄力粉つけまくった鶏肉を、大量の油をひいたフライパンにそっと置いていった。

一瞬いいかもと思ったけど、すぐに水分がたくさん出て薄力粉がどんどん鶏肉から分離してしまった。

水分と油と薄力粉がまざったような謎の液体ができてその中で鶏肉が焼かれていく。

失敗した。卵でつなぎが必要だったんだろうか?鶏肉の水分を取るべきだったのか?でも動画では薄力粉しかつけてなかったけどな。

とりあえず余った薄力粉鶏肉の上にパラパラまいてみたりした。たぶんすぐにかき回したのもよくなかった。

部分的には衣っぽくなってる箇所もあったのでとりあえず良しとした。



次は玉ねぎの投入だ。ここで俺はまた失敗する。

最初の予定では鶏肉に衣がついたら油は一度切るつもりだったが、忘れてフライパンにそのまま玉ねぎを投入してしまった。

これはそうとう油っぽくなってしまうなと思ったけどそのまま続ける。

その後はもう大してやることはない。水を入れ煮込み、牛乳を入れさらに煮込む。・最後にシュクメルリの粉を入れればそれで出来上がりだ。

ただ自分としては本当は玉ねぎに少し色がつくくらいまで炒めたかった。

でもそれだと後で玉ねぎが溶けてしまうのかもなと思ったので早めに煮込みに移行した。これは正解だったと思う。最後まで玉ねぎはその形と歯ごたえを残してくれた。

しばらく煮込んで次は牛乳を入れていく。450mlのパック牛乳は余らせそうだったので大量に入れた。

残った牛乳薄力粉を買った帰りにセブンイレブンで買ったホットコーヒーに入れてカフェオレにして飲みながら調理を続行した。

煮込むにつれて色がめちゃくちゃいい感じになってきた。大量に入った油と煮詰まってきた牛乳によってスープは全体的にクリーム色になってる。



ここでふと思う。これ、めちゃくちゃハイカロリーなのでは?

見た目がまずすごくハイカロリーっぽく見える。

さすがに油が気になってきたしアク取りも忘れていたので、せめてとスプーンで上澄みの黄色いとこをすくっては捨てた。時既に遅しかもしれないがなにもしないよりはましだろう。

ある程度上澄みを避けて味見したら、材料と塩コショウくらいしか入れてないのになんか美味しかった。

そして最後の仕上げに「気ままにグルメ シュクメルリ」の粉末を投入する。

一気に匂いが出てきた。ニンニクが効いてるのがシュクメルリの特徴らしい。

ただ完成したのはパッケージにあるシュクメルリとはだいぶ違うものに見える。牛乳を大量に入れたせいで見た目は普通クリームシチューに近い。

でも味としてはクリームシチューよりはスパイスを感じる。あとニンニクが効いてる。

まあ雰囲気が出ればいいのだ。なによりシチューっぽいだとしても自分で作ったということに気持ちが昂ぶる。



付け合せは食パンだ。

出来上がったシュクメルリ(風ななにか)を皿に移し

フライパンに少しバターを落としてそこに食パンを投入する。

何度もひっくり返しながら両面がこれもう焦げてない?くらいまで焼く。

家はトースターがないけどどうしてもトーストしたかったのでこうやった。

ちなみにVフォーベンデッタという映画主人公がやってたのを真似したつもりだ。(映画ではバターが異常に使われてたけどさすがにそれはやめておいた)

ガリガリになった焦げ目のついたトーストと、ぼてぼてのクリームシチューっぽいシュクメルリ、彩りとしては暖色しかなく、量を作りすぎたのもあってハッキリいって全然美味しそうには見えない。

だが味のほうはたくさん失敗した割にはそれなりに美味しかった。



反省点は山程ある。

俺はシュクメルリを食べながら、次はあそこをこうしてみようとか色々考えていた。

しかった。

調理中はほとんど無心で料理のことだけ考えていた。

簡単料理を1品作ってみただけで(しかインスタント食品だ)時間もあまりかかってない。

けど調理中の自分集中力、充実感はなかなかのものだった。

普段自分に好きなところなんてほとんどない。

仕事中の自分は小賢しくていやだし、オフの時もだらしなくて好きじゃない。

でも料理してる時の自分ちょっと好きかもしれない。

初めてのシュクメルリはなかなかヘビーだったので、少し期間を置いてまた挑戦しようと思う。

気ままにグルメがまだ一袋残っているので、今度は牛乳と油を減らして、彩りになりそうな野菜検討してみようと思う。




追記:昨日の夜に勢いで書いたんだが、その後Youtubeでシュクメルリを作ってる動画をいくつか見てみた。

なぜか人によって材料工程全然違うのでなにが正解なのかはよくわからなかったが、恐らく元々の料理はかなり素朴なもので、それに様々なアレンジが入ってるようだった。

松屋メニューにもなっていたらしく去年くらいプチブレイクしていたというのも知らなかった。

日本のシュクメルリチーズを入れてたりしてよりリッチそうな(そしてカロリー高そうな)レシピが多いみたいだけど、自分としてはシンプル鶏肉を食べる方向で再挑戦してみたいと思う。

不思議もので、料理だと時間を使っても罪悪感があまりないというか、スポーツと一緒でなんか良いことをしてるような気分になれる。

自分の作ったものを誰かに食べてもらうという機会はきっとこの先もないだろうけど、俺が俺のために作ってやるというのもけっこういいもんだなと思った。

ありがとう。次はもっと美味しくするぞ。

  • めでたい席で食べる料理=祝merryという日本語説

  • シュクメルリ、色が地味になりがちだけどおいしいよね。 文章から増田の丁寧な人柄が感じられて好きになってしまったよ。 これからも日常を楽しんで、何かあったら増田に書きに来て...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん