私には好きなコンテンツがあった。原作がオリジナルアニメで後にソシャゲ化したとあるコンテンツを、3年ほど追いかけていた。
それについては後述するのだが、それの影響で色々と限界を迎えているジャンルなため新規介入が難しく、周りには顔見知りの古参オタクしかいない。つまり界隈が非常に狭い。
このジャンルはキャラクター同士のセット売り、所謂「カップリング」推しが顕著に出ているジャンルであることが言えるのだが、私は界隈では少数派のキャラクター単体のオタクである。
だが元々がカプ推しメインのジャンルなためそれに対して嫌悪感はない。自分が異端だと理解はしている。
ただとにかく肩身が狭い。
アニメしかない頃は良かった。いつ推しが消えるか分からない恐怖はあるが(というかそれは今でも続いているが)、良質な絡みや感情の変化は心に残るものだったし、本心から楽しめた。
しかしソシャゲ化でそれは急激に速度を増し、とにかく運営は「人気のある2人組の出番を増やすこと」しか考えていない。少なくとも私にはそう見えてしまう。
ソシャゲ自体は最近ではよく見る最高レアリティのカードを引くと特別な衣装がついてくるタイプの至って普通のゲームだが、そのカードや衣装の出し方が酷い。
バレンタインやブライダルなどの大きなイベントの限定ガチャは大抵人気の2人組が抜擢される。
カードや衣装の随所に散らばるカプ相手の匂わせ要素が酷すぎて、最高レアリティのカードが10周しているような人気キャラでも「そのキャラクター個人のためだけの衣装」と呼べるような衣装が一番最初の恒常カードくらいしかないなんてことがザラにある。
例えば、通常ではゴスロリ系や今で言う地雷・量産系の衣装を好むキャラクターがいるのだが、公式カプの相手に合わせてパンク系のかっこいい衣装しか実装されなくなってしまった。
そして界隈は大絶賛の嵐。「〇〇(カプ名)しか勝たん」「てぇてぇ」「神運営」などの言葉で埋め尽くされている。
優遇されて出番が偏りすぎている上に、その優遇されているキャラもカプ相手ありきのカードや衣装しか実装されない。
カプ相手のイメージに囚われすぎてキャラクター本人の本来の良さが損なわれている現状はひたすらに悲しい。
界隈内で発言力を持つ大手のオタクには絶対に沿わなければいけない雰囲気があるのも伴って、公式カプ供給には喜ぶ以外の選択肢がない。否定的な発言なんてできるはずもない。
そして先述していたこのジャンルの特殊な形態についてだが、キャラクターの入れ替わりが激しい。先週まで普通に登場していたキャラがなんの脈絡もなくいきなり消える。ソシャゲ版では所持済みのカードは手元に残り使用はできるが、今後そのキャラに関わるコンテンツの追加は一切ない。
その真逆で気づいたら新キャラクターが増えているなんてこともある。
元々がカプ推しジャンルなのに加えてソシャゲ版ではそれが更に見るに耐えないレベルで酷いのに、1人キャラクターが消えたらそのキャラとセットで推されていたもう1人のキャラはその後相手違いカプが当たり前のように推され始める。は?
カップリングてぇてぇしている周りのオタクはキャラクター1人が消えて相手違いカプとなっても、何も変わらず愛でている。この人たちはキャラクターが織りなすカップリングそのものに対して誠意はなく、コンテンツ全体、ひいては騒いでいる自分たちのことが好きなのだ。
そして私のようなキャラクター単体オタク以上に人権がない公式カプの相手違いカプを推しているオタクは、ワンチャン自カプの公式相手が退場することを虎視眈々と狙っている。
いつ推しが消えるか分からず、またいつ推しカプが離れ離れになるか分からない。
そんなジャンルに残っているオタクなんて物好きのやべーやつらしかいない。
そして普段からコンテンツを盲信している界隈のオタク達が荒れ狂うイベントが一度だけあった。
キャラクターに派閥が生まれてキャラ同士で争うような内容だったのだが、それで複数人のキャラクターが一気に消えた。そのキャラ達は4月2日になっても帰って来ず、嘘から出たまこととなった。
この時ばかりはみんな怒り狂ったが消えたキャラクターのオタクが特に怒り、炎上騒動にまで発展してしまった。
気持ちは分かるがそれを分かってて推しているんじゃなかったの?いつ消えるか分らないって分かってたんじゃなかったの?とつい思ってしまい、「ああ界隈の人たちもコンテンツもやばいんだ」という確信を得る出来事になった。
そんなことをしても消えたキャラ達はひとりも帰ってこないのに。
私は今日このジャンルを去るつもりでこれを書いた。本当は2年前の今日に他界していれば良かったのに、うだうだと決心がつかないままここまで来てしまった。
このままここに居続けても明日推しが消えるかもしれない。推しのカプ相手が消えて今まで2人で積み上げてきたものが壊されてのうのうと別のキャラクターと関係を築くかもしれない。今日もまた1人消えた。
推しが消える前に自分が消えた方がいい。先に自分がいなくなれば、たとえ後からコンテンツから推しが消えたとしても自分の中にはずっと残る。好きだからこそ好きなまま消えた方がいい。
カプ推しがメインのくせに理解出来ない形態を取っているジャンル本体、キャラクター単体を見ないソシャゲ、そんなジャンルを崇め称えるオタク、村八分の恐怖で自分の意見が言えない閉ざされた界隈。
閉じた世界の中で身内のオタク同士でつるんで、そのまま終わりを迎えてほしい。
嘘みたいな出来事ばかりが起き、推しを推すことよりも周りに順応することを優先していることに気づいた。
できればずっとこのままでいたかったけど、もう無理だった。見て見ぬ振りをし続けるには精神が限界だった。
すごく好きだった、推しのことが。むしろ消えてくれればいいのに、と最低な願いが一瞬過るくらいには。ずっと大好き。この気持ちを抱えたまま逃げる私をどうか許してほしい。
私はまともなジャンルでもっと幸せになります。だからあなたもどうか私の知らないところで幸せになってください。愛しています。さようなら。