2020-01-01

[] #82-2「ノンフィクションWWW

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竹島:あの頃は人間扱いしてくれなかった。エベレストに登らされたとき、この仕事を請けたのは失敗だと思いました。

この時の『Mの活劇』の撮影について、Mのスタントである竹島秋雄はこう語ります

竹島監督のこだわりと言えば聞こえはいいですが、どちらかというとワガママでしょうね。たった十数秒のシーンのために、わざわざ実際に登る必要はなかった。

監督:初期の『Mの活劇』はショート作品だったので、とにかくインパクト大事だと考えていました。

この制作スタイルシーズンごとに落ち着き、起承転結意識した構成になっていきます

しかし、ここで新たな問題が浮上しました。

監督脚本が完成しないんです。大まかなプロット複数あって、ストックも常にありますしかし、それを物語として構築する作業にとても時間がかかりました。

脚本家:1話ごとの放送時間が延びたのが主な原因でしょう。通常、こういう作業には複数脚本家がチームを組んでやるのですが、元はショート作品だった『Mの活劇』では監督との二人三脚なんです。

そうして完成しても、予期せぬ障害が発生したことも珍しくありません。

監督意図せず時事ネタになってしまった時は頭を抱えました。編集も終わってた段階だったので、かなりショックでしたね。

そう苦笑しながら、お蔵入りとなった台本記録媒体を我々に見せてくれた。

監督:この話自体が、当時放送できなかったフィルムを探すって話だから皮肉なもんです。

そのストーリーとは、諸事情封印された「幻のエピソード」を現スタッフたちが追い求めるというもの

なんとかフィルムは見つかるのだが、火の不始末によって燃えしまう。

中身を見ることなく、結局は「幻のエピソード」となってしまうという展開でしたが、このシーンが問題視されました。

監督現実で、とあるスタジオマジで火事なっちゃって、不謹慎からって放送局に拒否されましたよ。

脚本家:そこまではいかずとも、周りで話題になっていることと制作中のテーマが似てしまうなんてのはよくありました。

監督こちらとしては乗っかっているつもりはないし、そういう風に思われたくもないから時期をズラしたりしてるのに、なぜか再燃して結局はカブるという。

そうした予定外からまれ急ピッチ制作は、作品の質にも表れます

テーマが前のめりすぎたり、尻切れトンボエピソードが出来ました。

監督枚挙に暇がないけど、くどいというか説教臭いというか。主張がセリフに落とし込めていない感じが今でもする。

脚本家:特に試行錯誤していた中期は、その傾向が強い気がしますね。

他にも課題はありました。

役者たちとの連携が上手くとれず、現場では何度か不和も起きたといいます

それが世間認知されたのは、出演者の一人が書いた暴露本でした。

チャンネルそのままで


「それ面白い?」

「少なくとも眠くはならん」

CMタイミングで、弟が年越し蕎麦を持ってきた。

皆は口々に「えー」と声を洩らす。

「今さら蕎麦って……」

別に蕎麦が嫌いってわけじゃない。

これを持ってきた時、既に年を越していたのが問題だった。

時計の短針は1の数字を指しており、食べるタイミングとしては完全に手遅れだ。

別に年を越した後に食ってもいいんじゃないかって思うんだよね。“年越し蕎麦”って呼ばれてるんだからさ。年を越す前に食べるか、後に食べるかなんて、この名前だけじゃ確定しない」

そんなこと言い出したら年越し蕎麦自体、どうしても食わなきゃダメってもんじゃない。

しかし出された以上、食わないわけにもいかないので、俺たちは番組を尻目に麺をすするしかなかった。

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