2014-09-06

女子高生裏社会関係性の貧困」に生きる少女たち』

強烈な一冊。

JKお散歩JKリフレなどの所謂JK産業で働く少女達へのインタビュー集というのが基本的な構成で、途中途中にJK産業で働いた経験のある少女31名へのアンケート結果が挟まれる。筆者の仁藤夢乃氏は1989年東京都生まれ女性で、中学生のころから渋谷ギャル」をやり高校は2年で中退したという経歴で、JKときメイドカフェで働いていたこともあるらしい。まあ少女達に寄り添える立場ってやつっすね。

ただし最後の2章程度を除いては過剰に筆者の意見が前に出ることはなくどちらかと言えば乾いた筆致で少女から見たJK産業が語られる。それと同時に奴隷商たちによる「愚かな」少女誘導マニュアルが筆者の視点から淡々と紹介されていく。愚かな、と書いたのはその手法が我々読者からみた場合にあまりにもチープだからだ。ある少女は「ホームページがあるからまともな仕事そう」と思い、求人登録サイトバイトを探していた別の少女JKであれば誰にでも均質に送られるスカウトメールを「選ばれた」と認識してJK産業に入っていった。働き始めると、売上が良ければ褒められ、売上が落ちれば優しく励まされる。そしてそれにやりがいを感じる。「私は必要とされているんだ!!」

裏オプの状況についても語られている。働き始めて数ヶ月で感覚麻痺し、胸を触らせる・パンツを見せる・抜き・本番……などを始める少女がいる。一方で、「裏オプやってる娘には負けたくない」という高い意識()を持ちナンバーワンになる少女がいる。前者は「そういう自分」にまあいっかと適応し、後者奴隷商たちのやりがい搾取適応した結果だ。

売りをやるような女は頭悪いからしゃーないwwwと言う意見があるが、全くそのとおりだ。彼女たちは頭が悪いまだ子供だから常識は知らないし、まともな教育環境にもない。家に金がないからといって彼女たちがバイトで貯めた金の半分を取ってくる親がいる。ついでに言うとJK産業で働いた場合、稼いだ額の半分を店に収めるので1/4しか金が入らない。分数のできない女子高生だ。3/4を搾取する大人のマニュアルに気付かず、親を客観視することができず、優しく声をかけてくる店長のことを「優しい親戚のおじさんみたい」と思ってしまうほどに愚かだ。おかしな金銭感覚教育されたまま、後はお決まりのフルコースが待っている。JKお散步→キャバ風俗羊水が腐ったのでさようなら

まあこの手の家庭環境問題があったり、ヤンキーなりいじめ被害者なりで学校からはじかれたりした層をタゲった構造は昔からあったわけで、現代の闇がうんぬんとかいう話ではない。ただし誘導手法マニュアル化が進むとともに高度化も進んでいるらしい。タイトルでは「関係性の貧困とあるが、むしろ強調されているのは衣食住に困窮した少女達の「セーフティネット」としてのJK産業だ。家に居場所がない少女には「住」だけでなく金がないので「衣食」もない。そういった少女奴隷商は「住」を提供する。10畳の部屋に大勢少女が暮らす。JKお散歩は「食」を与え、仕事で得られた収入が「衣」を与える。明らかにどっかで見た構造が流用されてんな。まあいい。彼女たちは自立できたのだ。少なくとも家族学校に縛られていたときよりは。

さて、誰が(何が)悪いのか。頭の悪い少女女子高生欲情する人間レズ買春者もいるそうで)?奴隷商?

では、最も効果的な対策は何か。頭の悪い少女売春逮捕する。女子高生欲情する人間買春逮捕する。奴隷商を殲滅する。どれも効果があるだろう。ただし、いずれもJK産業生活する少女の「居場所」を奪うという点では同じだ。奴隷商は高度化されたセーフティネット提供し、少女は愚かしくもそれに惹かれて、居着いている。狂った構造だ。だが、恐らくこの構造に学んだシステムこそが社会提供すべきセーフティネットである。金儲からないから難しいのか知らんけど。

最後に。とりあえず、ガキを搾取する大人どもは死ね

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