婚活を初めて結婚を諦めるまでの過程が死の受容プロセスに似ていると思った。
婚活を開始するも自己評価と異性からの評価のギャップに衝撃を受ける。自分からアプローチした相手からはまったく相手にされず、自分にアプローチしてくる人は一目で詐欺目的と分かる人や10歳以上年上の人、容姿が著しく悪い人ばかりだと感じる。酷くショックを受けたために抑うつ状態に陥ったり、婚活を中断してしまう場合もある。
衝撃から回復して婚活を本格的に再開する。1つだけでなく複数のサービスに登録し、課金しなければ使えない機能を試す。婚活の体験談を読んだり周囲の人の話を聞いたりして必要なことを学び、プロフィールの文言や写真、コミュニケーションの仕方を修正していく。「婚活がうまく行かないのは自分自身の問題ではなく、やり方の問題なのだ」という信念をモチベーションに精力的に活動する。
婚活を続けてもうまく行かず、怒りや抑うつの感情が抑えられなくなる。「異性は現実的でない高望みをしている」とか「まともな異性がいない」といった考えを抱き始め、SNS上でも同じ意見のコメントや記事を好んで読むようになる。自分は誰からも愛されないと感じ、抑うつ状態に陥る時間も長くなる。怒りや落ち込みのために疲れ果て、仕事にも集中できなくなる。婚活は継続しているが活動していると苦しいため、一縷の望みにかけて最低限の活動だけを続けている。
自分には結婚できる見込みがない、ということを事実として受け入れる。利用サービスを変えようがアプローチ方法を変えようがどうにもならないことを理解し、結婚することを諦める。「受容」というとポジティブな印象を与えるが受容期は決して幸福な段階ではない。「努力したけれど結婚できなかった」という事実は重く辛く苦しいものであって、次のステップの糧にできるような実りある経験ではない。しかし受容期にたどり着いた人間は、その苦しい現実を前にしても激しい感情を掻き立てられることなく過去の出来事として静かに受け入れられるようになる。受容期に至った人間は婚活サービスのアカウントを全て削除し婚活市場から消える。以降は結婚に関する話題に関心を持たなくなる。
就活もな