2024-08-22

エムポックス ことばについて

「エムポックス クレード1」と聞いてグレード1かと思ってしまった。ウイルス毒性とか感染力とか総合的な危険度とかで等級をつけているのかと。最強のグレードが出たのか、あるいはここからグレード2,3とパワーアップしていくのかと。

ググると「クレード」は系統樹の一つの枝の意味で、同祖の一群ということだ。

じゃあ新型コロナで聞いた「株」「変異株」と何が違うのか?生物全般に言うかどうかの違いはあるが、この場合指し示している内容は同じに見えるので使い分けの理由がわからない。

そもそも変異型」の意味で「変異株」というのもなんかちょっと変だ。

デルタ株とかオミクロン株とかいう言い方もよくわからない。同株由来のデルタ型、オミクロン型なのでは?

「Mpox」は「monkeypox」の(おそらく)ニュートラル略称だったが “誤解を生じさせないように” とWHOがMpoxの方をメイン呼称にするよう推奨し、本邦の感染症法上の名称もそれに準じるかたちでサルからエムポックスに変更した。

monkeypoxはサルから見つかったpox virusが起こす病気である

poxという単語漢字の「痘」とイコールである。痘は読んで字のごとく、豆粒みたいな水疱がたくさんできる病気/症状だ。

天然痘はsmall poxである天然痘の何が天然なのか?は定かではないが、おおもとは天から降ったような謎の災厄っぷりに由来するようだ。

ところで新型コロナウイルスのことを最初武漢ウイルスとか呼んでいた。WHOがCOVID−19という名称を出すとそれが正式ということになり、武漢を冠するのはなんかいけないことのようになった。

そもそもそもそもはナイル熱とかエボラ出血熱日本脳炎みたいに、疾病名として初発地や流行地の地名を冠する呼び方ふつうになされていた。

しか差別風評被害等を惹起する可能性があり、またおそらくは学術的な正確性や意義が乏しいということで、地名ウォッシュした命名法をWHO採用するようになった。

それはWHO公式名称としてそれを採用するというだけのことであり、「病気病原体名前地名を冠してはならない」という決まりが制定されたのではない。

「こびどないん…」が言いにくいか武漢ウイルス通称するのも、中国政府隠蔽体質告発意図を込めてそう呼ぶのも、別にめいめい勝手次第である

チャイナ」を「シナ」と呼ぶのは差別だ!という話と似ている。もともとシナ差別語ではない。ジャパンハポンと同じだ。でも「そう呼ぶのが差別だと言うなら、そう呼んでやろうじゃないか。俺は中国人差別したいんだ」というものも出てくる。そんな意図は何もなく歴史的文脈歴史的呼称を用いただけなのに害意ありと見なされることもある。

他人言葉かいコントロールしたければ公明正大議論と丁寧な合意形成必要なはずだが、そこをまるごとすっとばしがちなのがポリコレの危ないところだ。

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