2023-03-24

遺伝子に自信が無い

私の母親には姉と弟がいて、母の姉は重い障害を持って生まれたらしく子供の頃に死んでしまったそうだ。

母の弟もまた知的障害と全身に軽い麻痺があり、一人で生活は出来ないので今は私の両親と同居している。

子供のころから、なんとなく自分子供をつくらないだろうと思っていた。

ありていに言ってしまえば自分遺伝子に自信がないのだ。

障害を持った子供が生まれてくる可能性は、普通のひとより高い。

もちろん私の両親は私を生み、そして私は健常者なので、その心配は考えすぎなのかもしれない。

でもやはり怖い。

叔父のことは嫌いではないし、何かひどい目にあったりはしていない。

今年の年末実家に帰って一緒に過ごした。キャパティを超えるような出来事が起こらない限り、朗らかでニコニコしながら静かに生活を送っているひとだ。

それでも子供を産むのは怖い。

叔父の影響かは分からないが、母は障害支援仕事をし、父ともそこで出会った。

親共に緊急の呼び出しがあって幼い私を夜に家に置いていけない時など、子供のころからたまに職場についてゆくことがあった。

子供の頃の私はやっぱりそこが怖くて、陰鬱で、嫌だった。

また、記憶に残っている出来事として、珍しく夕方に家に帰ってきた父親が黒いスーツを着てまたすぐに家を出て行ったことがあった。

普段は突然走り出したりする利用者を捕まえるためにジャージを着ている父親のその珍しい装いが不思議だった。

漏れ聞こえた話によると利用者家族一家心中したらしい。

そのままの印象で大人になってしまった。これは障害者への偏見なのだろう。

学生時代恋人が出来た。

私は事情を話して、子供だけは作るつもりはない、結婚もしない。と言っていたし、彼もそれでいいと言ってくれたが、社会人になって彼はやっぱり結婚したいと言い出した。

障害を持った叔父がいることを相手家族説明するのか、と考えると恐ろしかった。

どういう顔をされるのか、反対されるのではないか、その時彼は見方してくれるだろうか、私は冷静でいられるだろうか。

それ以前に、将来叔父の面倒を見るのはきっと私だ。

もちろん両親はその道のプロなので最適な支援と繋げているし、私に100%負担がかかるようにはならないだろうが、それでもどうなるか分からない。

その時結婚していれば否応なく相手人生を巻き込んでしまう。

子供を作りたいわけじゃないと言われたけど、将来どうなるかは分からない。事実結婚に関しては心変わりをしたわけだし。

そういう煩わしさや、子供を作らないという自分人生に彼を巻き込んでしまう恐ろしさが積み重なって、結局別れた。

それから数年たち、その時の判断を後悔したりはしていない。

でも時々、あの時私に勇気があれば結婚して子供を作っていたかもしれない、と思うと複雑な気持ちになる。

いや、それは自分を良く見せようとしている。

本当は叔父がいなければ、私はどんな人生を歩んでいたかを考えてしまう。

そしてそれは、自分人生に岐路が訪れたとき、何かから逃げる言い訳叔父存在を使っているだけかもしれない。

そんなことをグルグル考え続けてしまう。

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