世間が衆議院議員選挙で盛り上がってるとき、VTuber 界隈の片隅で、小さなボヤ騒ぎが起きていた。
「VTuber(配信者) のライブでの リスナー(視聴者) のマナーが悪い」。
子どもや、初めて VTuber を観る新規リスナーが増えた。
ニコニコ動画時代から生配信を観ていた古参リスナーとは異なり、新参の彼らは配信の空気感やマナーを知らず、あまりに自由に無邪気に振る舞ったため、一部の VTuber の配信でトラブルになった。
——鳩行為。
ライブでゲームプレイ配信をしている VTuber などのチャットコメントに、「XXX さんがいま、凄いことしてるぞ!!!」のように彼の配信に直接関係ない、他人のライブ情報を伝えに行く。まるで伝書鳩のように。
よかれと思ってやったその行為。でもそれがゲームの腰を折ってしまう。
鳩があまりに多く群がれば、VTuber はゲームの手を止めての対応を迫られる。ごく稀にそこから突発コラボのようになって盛り上がる事はあるものの、ただゲームを見たいだけの観客は席を立ってしまう。この鳩行為をさせないために、ライブ動画の概要欄にあらかじめ 鳩行為禁止 を指示する VTuber も多い。今回の騒動でも、リスナーの鳩行為の過熱に VTuber が悲鳴をあげていた。
私(増田)と、友だちは、この件について話し合った。「あまりに配信者が可哀想だが、しかし根絶するのは無理だよなぁ…。」盛り上がる議論は、 VTuber が鳴らしていたいくつもの警鐘のうちの別のひとつに差し掛かかる。
この項目もまた、VTuber の概要欄の命令リストでは人気の項目だ。盛り上げるために別の配信者の名前をあげて「XXX さんも誘おうよ」のように話を広げるこの行為。しかしやはり、XXXさんを知らない人にとっては配信の流れから逸れているように見えるし、VTuber は対応を迫られる。無視したら 「XXX さんのこと、実は嫌いなんじゃないか」と勘繰られる怖れがあるからだ。プレッシャーは負担になって、配信者を追いつめた。
私は嘆いた。どうしてこんな当然のことも注意しなきゃいけない? なんで善意で配信してくれてる VTuber がここまで言わなきゃならないのか。すると友だちは思案顔になり… もとい、思案顔のスタンプを送ってきた。
🤔
「ちょっと待てよ。ならアレはどうなんだ? 」
——よう見とる。
VTuberのライブ配信中のチャットコメントに、かの有名配信者が現れた! そんなときリスナーは一斉に叫ぶ。
「「「XXXさんも よう見とる」」」
自分の推しの突然の登場。そんな嬉しいハプニングを、ゲームに熱中して気づかない配信者に教えるためにリスナー達は、我れ先にと、こぞって、このセリフを言う。「よう見とる」の習慣は、私の知る限り VTuber 成立のごく初期から行われていた。いまでは V 界隈に広まって一つの文化になっている。
「でもさ
「『ホニャララさんも よう見とる』って言われるときって、ほとんどが、ホニャララさん当人が話題に出てないときだし、それってさっきの、話題に出てない別の配信者の名前を出さないってルールに反するよな?
「鳩行為禁止と同じで、話題に出てない配信者ルールは V の気を引いてゲーム中断させるのがダメなんだろ
「たとえ善意だろうと
「定着してる文化によるルールの例外は、前もって知っとけ、って言うんならそりゃ悪名高い『半年ROMれ 』の再来だぞ。新規リスナーが離れちまう
「ルールの衝突が起こらないようにするには、有名配信者の方を制限して、V は別の V のコメントに書き込まない、自分の名前が出された時のみ書き込める、ってしてもいいハズだが、それはそれで配信者が可哀想じゃないか? 自分もノリに加わりたいときはサブ垢に切り替えないといけない、って… 新参 VTuber はそんな面倒くさいルールを飲まなきゃいけないのかよ
「『よう見とる』『話題に出てない〜』『VTuber も気軽にコメントできる』… この3つは両立しない… こんな不幸ってありかよ?
「オレは V に負担かけたくない。でも正直『よう見とる』はやめたくない。リスナーのオレらがなんとかしなくちゃいけない。でもやめたくない。他に方法が思いつかない。決めなくちゃならない。わからない。わからない。お前はどうする? お前は、どうするつもりだ? ——…
ローカルルールみたいなもんを有象無象全員が順守するなんて状態はまずありえんのだから 権限を持ってる側がバンバンBANしてくことでしか解決せんし 権限持ってる配信者側は逆恨みさ...